経済産業省と文部科学省は17日、録画機器メーカーなどから著作物複製の補償金を徴収する「私的録音録画補償金」の対象に、Blu-ray Disc(ブルーレイ・ディスク)を加えることで合意した。だが、「ダビング10」実施へ向け、メーカーが反発していたHDDレコーダへの課金案については明確な結論が出ておらず、実施時期は不透明なままだ。

文部科学省では、iPodなどの携帯音楽プレイヤーやHDDレコーダ、次世代DVD、PCといった現行の補償金制度外の機器についても対象に含めるよう求める権利者側と、著作権保護技術の進歩を理由に同制度の縮小を求めるメーカー側が約2年間にわたり文化庁で議論してきた

これまでの議論を踏まえ、文化庁は今年5月、音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画を前提とし、iPodなどの音楽プレイヤーとHDDレコーダを補償金の課金対象とすることを提案。だが、メーカー側はこの案に激しく反発。

この反発が要因となり、デジタル放送の録画可能回数を10回にまで規制緩和する「ダビング10」の実施が、当初予定の6月2日から延期される事態となっている

今回合意がなされたのは、次世代DVD規格であるブルーレイ・ディスクへの補償金課金。補償金対象を拡大することで、メーカー側が反発しているHDDレコーダの課金について、権利者側からの譲歩を引き出す意図があるとみられる。

だが、権利者団体でつくる「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」などは、「現行法でのブルーレイ・ディスクの指定が、ダビング10実施の前提となる権利者への適正な対価の還元に当たるかについてははなはだ疑問」とする声明を発表。「権利者としては、この合意をもってダビング10実施期日の確定ができるとは考えていない」としている。

文化庁では、「ブルーレイへの課金は今回の合意により現行法下の政令として定めるが、HDDレコーダへの課金は、私的録音録画小委員会で議論している著作権法の改正が必要。今後も同委員会で議論していくことになる」と話している。権利者側の声明も考慮すると、ダビング10実施にはまだなお高いハードルがあるといえそうだ。