Samsung電子とLG電子が、相次いでタッチスクリーン携帯を発表している。これまでは「PRADA携帯」など高級感のある機種に採用されることの多かったタッチスクリーンだが、さまざまなタイプの機種が出ることで、タッチスクリーンが広く普及する日も近いように見える。

触れれば起こる魔法、Samsung電子「TOUCHWIZ」

「TOUCHWIZ」は7.2MbpsのHSDPAに対応。ウィジェットを使い、頻繁に利用する機能のアイコンを待ち受け画面上に置いておけるのが便利だ

Samsung電子は、"Touch"(タッチ)と"Wizard"(魔法使い)からの造語である「TOUCHWIZ」を愛称として付けた新製品「SGH-F480」を発表した。「魔法のように革新的なUIを通じて、ユーザーに新しい経験をもたらす」(Samsung電子)という意味合いがあるTOUCHWIZは、現在韓国で品薄になるほど大人気の携帯電話「Hapticフォン」(SK Telecom向けは「SCH-W420」、KTF向けは「SPH-W4200」)と同様のUIを適用している。

「弧を描く」「ドラッグ&ドロップする」といった多様な指の動きで操作できる2.8インチのタッチスクリーンのほか、頻繁に使う機能のアイコンを登録しておけるウィジェット機能、22種類から選べる振動など、直感的かつ楽しい操作を可能にするユーザーインタフェース(UI)だ。

さらにTOUCHWIZでは、オートフォーカス機能付きで500万画素という高性能なカメラ機能も特徴となっている。パワーLEDを利用したフラッシュ機能、笑顔を検出してシャッターを自動的に切る「スマイルショット」、パノラマ撮影機能、手振れ防止機能など、デジタルカメラとしても十分に利用できるほどの多機能ぶりだ。

韓国で大人気のHapticフォン。今年3月末、70万ウォン台(7万円以上)という高値で発売されたものの、5月には既に販売数が10万台を超えた

このほかの機能としては、MP3/AAC+/eAAC+/WMA/AMR/WAVと多様な方式に対応した音楽プレイヤーを搭載し、Bluetooth 2.0およびUSB 2.0に対応するほか、外部メモリとしてmicroSDカードに対応している。大きさは98.4×55×11.6mmと、高機能機種としてはコンパクトだ。

最初は欧州市場にて6月から販売されることとなっており、フランス、ドイツ、イギリスでは発売を記念してのイベントも行われるという。

北米で4・5作目を飾る、普及型タッチスクリーン携帯

Vu(右)と、Vantage(左)。Vuは12.9mmというスリムなストレート型で、22日に米国市場で発売された。Vantageはタッチスクリーン+キーパッドという2種の入力方法を駆使できる

LG電子は北米市場にて、「Vu(LG-CU920)」および「Vantage(LG830)」という2種類のタッチスクリーン携帯を販売している。

Vuは、3インチと大きめのタッチスクリーンを搭載した機種で、モバイル用マルチメディア放送規格であるMediaFLOに対応しているのが大きな特徴だ。5月初めにMediaFLOサービスを開始したAT&T向けの端末。LG電子によるとVuは、AT&TのMedia FLOサービスに対応した最初の製品であるという。

このほかにもMP3/WMA/AAC/AAC+/eAAC+といった音楽形式に対応し、カスタマイズ可能なイコライザやプレイリスト機能のある音楽プレーヤーを搭載しているほか、大手音楽配信サービス「eMusic」を始めとした主要な音楽サービスが利用できるなど、音楽や映像といったマルチメディア機能が充実している。

一方のVantageは、カナダのCDMA事業者である、Bell Mobility向けの携帯電話だ。Vantageはスライドタイプの端末で、タッチスクリーンとキーパッド操作とを合わせて利用できる、入力の多様さが特徴だ。

画面は2.6インチ、カメラは200万画素で、Bluetooth 1.2、microSDカードに対応と、基本的な機能をひと通り備えている普及型の端末といえる。またJ2MEに対応しており、携帯ゲームを始めとしたJavaアプリケーションを楽しめるほか、Windows Live Messengerが利用可能など、エンターテインメント機能も搭載している。

LG電子では昨年10月に「Voyager(LG-VX10000)」「Venus(LG-VX8800)」というタッチスクリーン携帯を北米市場で販売したのを皮切りに、今年3月には「Glimmer(LG-AX830)」など、普及機種でもタッチスクリーンをしてきた。LG電子によると、特にVoyagerやVenusは人気が高く、発売から約7カ月で200万台を販売するヒットモデルとなっている。

QWERTYキーボード付きのVoyager(左)と、前面に2つのディスプレイがついているVenus(右)。いずれもVerizon Wireless向けの機種。Venusの場合は、下方にあるディスプレイがタッチスクリーンになっており、上方の画面の操作ができる

米Alltel用携帯のGlimmer。Vantageと同様スライド式で、キーパッドとタッチスクリーンとで操作が可能

普及型にもこうした人気機種が出てくることで、タッチスクリーン携帯はユーザーの裾野を広げていきそうだ。両社では今後も積極的にタッチスクリーン携帯を販売していく意思を明らかにしている。