19日(米国時間)から"JSR 292: Supporting Dynamically Typed Languages on the Java Platform"のEarly Draft Reviewが公開された。この最初の草案レビューは8月17日(米国時間)まで継続しておこなわれる。今回の草案公開はJSR 292の最初の試金石となるだろう。JSR 292はJavaがスクリプト言語のプラットフォームとして躍進するための鍵となる可能性があり、JSR 292はその点で注目に値する。

JSR 292は2006年2月28日(米国時間)に提案された規約で、最初の投票は全会一致で賛成票を得た。しかし最初の草案を出すまでには2年以上の時間がかかっている。JSR 292は注目に値する分野だが、現在の案が必ずしも優れたソリューションになるのかまだ不透明なところがある。

JSR 292はJava仮想マシンにinvokedynamic命令を追加し、同命令を活用するためのAPIを策定するというものだ。型を固定せずにコールを可能にする命令で、同命令を使うことで型が実行時まで固定されないスクリプト言語の実装が容易になるとみられている。

しかし、Sun Microsystemsに雇用されフルタイムでJRubyを開発しているCharles Nutter氏は自身のブログにおいてJSR 292にはあまり意味がないかもしれないことを示唆している。同氏はJRubyやJythonに適用された最適化手法を紹介し、現在のJava仮想マシンでも実装を工夫すればスクリプト言語の動作を高速に実現できること、JSR 292がそれほど効果がないかもしれないことが説明されている。

どのみち最初の草案が公開されたことで、JSR 292が有益なものであるかどうかの検討が今までよりもはっきりと進むことになるだろう。Java仮想マシンに命令を追加することは実装にも影響を与えるため、そう簡単に追加していいものではないため、同JSRの行方は注目しておく必要がある。