三菱商事とベルギーのRHJインターナショナルによる共同出資会社「シグマクシス」が20日、設立会見を行った。

シグマクシス 代表取締役CEOを務める倉重英樹氏

シグマクシスは、ICT(Information and Communication Technology: 情報通信技術)を活用した企業経営を支援するビジネス・コンサルティング会社。資本金は20億円で、三菱商事が51%、RHJインターナショナルが49%を出資している。

代表取締役CEOを務めるのは、RHJインターナショナル・ジャパン 代表取締役会長も兼任する倉重英樹氏。氏は、日本IBM 取締役副社長、プライスウォーターハウスコンサルタント(後にIBMビジネスコンサルティングサービス) 代表取締役会長、日本テレコム 取締役 代表執行役社長などを歴任した人物で、「プライスウォーターハウスコンサルタント時代には80名だったコンサルタント数を10倍に増員」(倉重氏)させるまでにビジネスを成長させた。

新会社では、「"Xpartner(クロスパートナー) for Your Z" ~究極の価値と喜びを創造する」をコンセプトとして掲げる。ここでのクロスパートナーとは、クライアントの上位概念として用いられた言葉で、リスク等をシェアした緊密度の高いパートナーのことを意味する。そうした存在となるべく、同社では「お客様がビジネスを進めるうえで必要なものをすべてそろえる"アグリゲーター"としてサポートしていく。ネゴシエーションではなく、コラボレーションを主体としてコンサルティングを行い、従来のようにITコンサルタント、SIer、IS部門などが個別に仕事を進める状況は作らない」(倉重氏)という。

アグリゲーターとしてビジネスを推進するために、コンサルタントの依頼を受けた際には、パートナーと共同で"One Project Team"を編成する。具体的には、プロジェクトオーナーやステアリングコミティを設け、その下にプロジェクトリーダーなどの遂行役が従属する組織体制をとる。「従来のプロジェクトは責任の所在が不明朗なために有事の対応が遅れ、実コストが予定よりも5割程度かさむというケースが多かった」(倉重氏)が、パートナーとコンサルタントが一体の運営チームを作り、責任を分かち合うことで、そうした状況を打破していく構えだ。

また、シグマクシスでは、成功報酬型プロジェクトを積極的に展開していく。予め設定した目標を大きく上回れば報酬を増額してもらい、下回れば報酬を減額するといった具合だ。目標を決めるプロセスについて倉重氏は、「一般のプロジェクトは大きく2種類に分けられると考えている。社内の制度を整備するといった、成果を具体的な数字で表すのが難しいものと、通常の事業部のようにROI(Return on Investment)等の形で成果を数値化できるものの2つだ。前者であれば、顧客満足度などのかたちで目標を設定し、後者であれば明確な数値を決めていく」と説明した。

シグマクシスでは、今年度中(2009年3月まで)にコンサルタント300名体制を整えることを目指すという。長期的には2000名規模にまで成長させる予定で、社員1人当たりの売上額2000万円、利益率2桁を見込んでいる。

左から三菱商事 常務執行役員 イノベーション事業グループCEOの小松孝一氏、シグマクシス 代表取締役CEOの倉重英樹氏、シグマクシス 代表取締役COOの垣原弘道氏