ヒーローズエデュテイメントは、各界の著名人のメッセージなどを伝える「魂のトレーニング」と銘打ったiモードサイト「魂トレ!」を12日に開設する。魂トレプロジェクトの第1弾として提供し、今後他キャリアへの展開やWebサイトでの提供、講演会なども検討していく。iモードサイトは公式サイトとして月額315円で提供する。

魂トレ!サイト。当初は3つのコンテンツを提供する

ヒーローズエデュテイメントは、小学生の子どもとその親を対象に人間形成教育プログラムを提供する私塾「心択塾」を開設。時代のリーダーを育成するための資質強化に取り組んできた。同社の秋沢志篤・代表取締役は、リーダーの資質について「競争に立ち向かう力強さ、人や自然を大切にする優しさ、ルールを守る意識」の3つを挙げ、これを実現するために著名人らを講師に迎えての教育を行ってきた。

ヒーローズエデュテイメントの秋沢志篤・代表取締役

今回、これまでのノウハウを使い、より広い世代に対して活動を広げるためにiモードサイトとしてサービスを提供する。秋沢氏は、「デジタルはどんどん進化していて、これを使いこなすアナログが強くないと振り回されるのではないか」との危惧から今回のプロジェクトを始めたという。秋沢氏は、ここでいう魂を「充実した時間を過ごしていこうという意欲」とし、「自己責任が重要な世の中で、自分で考え、自分で問いかけていくことにつながれば」と話す。

第一線で活躍する人たちによる「実績に裏付けられたメッセージ性」(秋沢氏)を集約し、提供していく考えで、心択塾とは異なり、子ども以外にも保護者や若者、シニア層など、幅広い年代に利用してもらい、それを子どもたちに伝えて欲しいという。

サイトのアドバイザーとしては、心択塾の講師も務める作詞家の秋元康氏を起用。音楽プロデュースにはシンセサイザー奏者の喜多郎氏、講師となる「ソウルマスター」にはプロ野球千葉ロッテマリーンズのボビー・バレンタイン監督やレーサーの片山右京氏、海洋冒険家の白石康次郎氏ら、心択塾の講師陣を迎える。キャラクター開発はイラストレーターの松下進氏。

iモードサイトの魂トレ!では、当初「魂の瞑想サプリ」「声魂サプリ」「魂トレ!道場」の3つのコンテンツを提供。瞑想サプリでは、「目を閉じて心を静かにして自分と対話する時間が必要」(秋沢氏)として、朝に聴く喜多郎氏の音楽を提供。声魂サプリでは、ソウルマスターが日替わりで、さまざまな人生の応援メッセージや生きる知恵を実際の声で語るストリーミングコンテンツ。魂トレ道場は、ソウルマスターを「師匠」として、リーダーの資質3つを「6つのセンス」として、これを磨いていくためのコンテンツを提供する。声魂サプリや魂トレ!道場のコンテンツはアーカイブとしても提供される。

声でメッセージを伝える声魂サプリ

魂トレ!道場。自己診断機能なども提供する

会見に参加したバレンタイン監督は、現在の教育現場に欠けているのが「どのようにしてすばらしい親になっていくかという教育」と指摘。さらに子どもたちは情報があふれているが、「どのように人生を成功させ、幸せな時間が過ごせるか、それに対して何が重要か探せなくなっている」として、魂トレ!がそれに役立てることができると話す。

ソウルマスターの1人である片山右京氏は、「大人の方がチャレンジしなくなり、忘れている部分がある」として、その忘れている部分を教えるために「携帯というこれからのツールを使い、子どもまで声が届き、新しい出会いができることを期待している」と話す。

ボビー・バレンタイン監督

片山右京氏

同様に白石康次郎氏も、「今の子どもの周りにはあまりに情報が多い。子どもに何かを与えよう、教えようではなく、子どもたちの持っている本性、魂を引き出すのが大人の役目」と話し、「子どもの魂を引き出す、いいところを引き出す道具になってもらえれば」と魂トレ!への期待感を表明する。

秋沢氏から相談を受けて開発に協力したというNTTドコモ執行役員の夏野剛氏は、携帯電話が「やっとこういう使い方をしてもらえるようになった」と喜ぶ。iモードを初めて9年、ビジネスや生活の便利ツールとしては活用されているが、「社会的意義は遅れてきた」と夏野氏。キッズケータイやらくらくホンなどはやってきたが、「ドコモの限界はコンテンツを作る企業ではない」(夏野氏)こともあり、魂トレ!のような「社会のため、子どもたちのため」(同)というコンテンツが登場したことに「ここまでこられたと感慨深い」と強調。こうしたコンテンツを、「子どもに楽しく、親が有用に使える」ように発展させていきたい考えを示す。「フィルタリングや出会い系といった問題もあるが、(携帯コンテンツには)いい方のコンテンツもあることを社会に伝えたい」と夏野氏はいう。

白石康次郎氏

夏野剛氏

プロテニスプレーヤーの伊達公子氏は「自分の限界にチャレンジしている中で学んだことを広く次世代に届ける。チャレンジすることのすばらしさを伝えていきたい」とのメッセージを寄せ、秋元康氏も「(大人は)子どもたちに向かって、何か話しかけるべきだ。子どもたちに伝えたいことは山ほどある」と魂トレ!への意気込みを寄せた。

夏野氏は、携帯コンテンツで難しい点について「画面サイズが大きくても3型なので表現力でPCに劣る」とした上で「それを克服するのは(コンテンツの)中身しかない」と指摘。それに対して魂トレ!は注目度の高い著名人のメッセージということで「ハイビジョンでなくても感動しやすく、メッセージが伝わりやすい。特徴が明確なものほど携帯コンテンツに向いている」と話す。

なお、6月下旬にドコモからの退社が決まっている夏野氏は、今回の会見が「ドコモの役員としては最後」と話し、「これまでインフラを作ってきたが、これからはアプリにも僕の知見を役立てていきたい。携帯をもっと便利に、役立つ、意義のあるツールにしたい」と今後の展開を語った。なお、秋沢氏は夏野氏にもソウルマスターとしての要請をしたことを明らかにしている。