LG電子とファッションブランドのPRADAは8日、同日日本市場での商品展開を表明した携帯電話「PRADA Phone by LG(L852i)」を報道陣に向けて公開した。

PRADA Phone by LG(L852i)

3インチワイドQVGA(240×400)のタッチパネル液晶ディスプレイを搭載し、画面にタッチすることでほぼすべての操作を行うのが特徴。黒を基調にしたモノトーンのシンプルなデザインは、既に海外で発売されているPRADA Phoneと共通しているが、メニュー構成などは日本向けに新規開発されているほか、受信最大7.2Mbps(規格上の理論値)のHSDPA方式やiモード等の独自サービスに対応するなど、携帯電話としては実質的にまったくの新モデルと言える。

前面パネルのボタンは一列に並んだ通話・クリア・終話(電源)のみ

操作を行うと通話・終話ボタンは赤く光る

左側面にはマイク/ヘッドフォン端子、ロックボタン、マルチファンクションボタン

上面には赤外線通信ポート

右側面にはカメラ起動ボタン、音量調節ボタン、外部接続端子がある

待受画面にはアナログ時計などを表示できる。一定時間操作しないと画面表示は消え、ブラック基調のデザインが引き立つ

待受画面左下のボタンに触れるとメニューが表示される。欧州版では階層型のメニューだったが、日本版ではテンキー配列のようにアイコンが並ぶ

iモード向けサイトの閲覧やiモードメールも使用可能

LG電子が昨年日本市場向けに開発した「L704i」(愛称:chocolate)のタッチパッドで採用された、タッチ面に触れると本体が短時間振動する機能を搭載。タッチ操作に慣れない利用者でも、入力が確実に行われたことを触感で知ることができる。画面の上で指を上下に滑らせることでスクロールができるほか、電話番号や文字の入力も画面上に表示されたキーに触れて行う。

電話番号や文字の入力は画面に表示されるキーを利用するが、操作体系自体は通常の携帯電話と同等

iアプリ利用時は画面に方向キーなどが表示される

L704i同様、タッチパネルに触れると振動で入力があったことを伝える。反応は音だけにしたり、オフにしたりもできる

マルチメディア機能も充実させ、iモーション(MPEG-4またはH.263形式の動画)、Music&Videoチャネル、着うたフルといったサービスが利用可能。また、AAC・AAC+形式の音楽ファイルが再生できるミュージックプレイヤーも搭載する。内蔵フラッシュメモリの容量は2GB。

基本的には指先で操作可能だが、ストラップに付けられる専用のタッチペンも付属する。これにもPRADAロゴが配されている

手書きメモ機能も用意される

そのほか、QRコードリーダーなどを搭載

カメラは既発売モデルと同様、独Schneider Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)公認レンズ採用の200万画素CMOSカメラが背面に用意されるのに加え、画面脇に自分撮り用のサブカメラが新たに追加された。バッテリーを取り外すとmicroSDカードスロットがあり、最大2GBのメモリカードを利用することもできる。

背面にはSchneider Kreuznach公認レンズ採用の200万画素カメラを搭載

発表会が行われた東京・南青山のPRADA Aoyama Epicenter

製品発表会が行われたPRADAの旗艦店・PRADA Aoyama Epicenterは、プラダジャパン代表取締役社長のダヴィデ・セシア氏が「ここは建築的にもPRADAの携帯電話の発表に最も適した場所」と自負するように、スイスの著名建築ユニットであるヘルツォーク&ド・ムーロンによるデザインが特徴。LG電子ジャパン代表取締役のリ・ギュホン氏も、「こういった場所で、世界的ラグジュアリーブランドのPRADAと共同開発した製品を発表できるのは光栄」と続けた。

続いて、製品の詳細について説明したLG電子マーケティング戦略担当バイスプレジデントのチャン・マ氏は、2007年3月の欧州版PRADA Phone発売から、日本市場での展開を発表するのに1年以上を要したことについて「日本は最も洗練された市場のひとつであり、非常に高品質のものが求められる。他の市場で既に発売されたものに少し手を加えて出すというのは適当ではない」からと述べ、第3世代携帯電話方式のサポートや、日本の利用者に合ったユーザーインタフェースの開発などに十分時間をかけ、満を持した状態で提供したかったからと説明した。

プラダ・グループのビジネス開発ディレクター、ジャコモ・オヴィティ氏は、PRADA PhoneにおけるLG電子との関係は、「単なるブランド提携や共同マーケティングではない」と強調。「PRADAのロゴが付いていないこれまでの携帯電話では味わえない体験」とは何かを、イタリアと韓国の間で極めて緊密なやりとりをしながら追求して作ったのがPRADA Phoneであり、両社の関係は「真のパートナーシップ」であると話す。LGのチャン氏も「ライセンス契約的なブランド提携ではない。一からの共同開発であり、今回一度で終わるものでもない」とし、スタイルから操作感に至るまで、従来の携帯電話とは一線を画すものを求めた結果生まれた製品であるとアピールする。

左からプラダ・グループのジャコモ・オヴィティ氏、LG電子ジャパンのリ・ギュホン氏、プラダジャパンのダヴィデ・セシア氏、LG電子のチャン・マ氏

当初発表ではドコモショップ限定での販売とされていたが、実際には全国のドコモ製品取扱店で販売は行われる予定だという。ブランド価値を維持するため、広告・宣伝から店頭での各種販売促進ツールまで、すべてのPR活動はPRADAのポリシーの下で行われる。価格については、まだ最終決定していないとの理由で明らかにされていないが、「非常に多くの機能を搭載しているのでそれなりの価格になるが、より多くの方々に使っていただきたいとも考えている」「価格戦略は世界市場で一貫している」といった表現で説明されているので、従来のハイエンド機種よりは高価だが、10万円は超えない程度になるものと考えられる。

寸法 101×54×12.7mm
質量 92グラム
連続待受時間 約350時間(静止時)
連続通話時間 約140分
ディスプレイ 3.0インチワイドQVGA(240×400)・全面タッチスクリーン
外部メモリー microSDカード(最大2GB)
外側カメラ 200万画素CMOS・Schneider-Kreuznachレンズ採用
内側カメラ 搭載