ヤマハは4月25日に新製品発表会を行い、新しいコンセプトのインタフェースによる電子楽器「TENORI-ON(テノリオン)」を5月12日から発売すると発表した。標準価格は121,000円。

LEDボタンによる新たなインタフェースで視覚的・直感的に演奏できる電子楽器「TENORI-ON」

"21世紀の音楽インタフェース"と銘打たれた同製品は、本体前面に16×16個のLEDボタンを配置し、音楽の知識がない人でも視覚的・直感的に作曲および演奏できるという電子楽器。基本コンセプトはメディアアーティストである岩井俊雄氏が手掛けており、2002年からヤマハと岩井氏による共同開発がスタートしたという。

ヤマハ株式会社 代表取締役社長 梅村充氏

メディアアーティストである岩井俊雄氏(左)とヤマハ・サウンドテクノロジー開発センターの西堀佑氏(右)。会場では二人によるデモ演奏などが行われた

視覚的にも大きな特徴であるLEDボタンは、演奏のためのインタフェースと、視覚的に演奏者および観客を楽しませるビジュアライザ、その両方の意味を持つ。また本体前面だけでなく、本体背面にも16×16個のLEDが搭載されている。この背面LEDはボタンとしては動作せず、表面LEDボタンの操作や演奏に合わせて同じパターンで発光し、たとえば演奏者が手持ちで演奏しているとき、観客にもその視覚的効果を見せることが可能となっている。

16×16=256個のLEDボタンが目立つTENORI-ON、これは電源オフ時

LEDボタンは選んだパフォーマンスモードとパターンの入力により多彩な発光を見せ、サウンドを生み出す

背面にも同じように16×16個のLEDが並ぶ。こちらは押すことはできず、表側のLEDボタン操作・演奏に合わせて同じパターンで発光する

LEDボタンの左右フレームにはそれぞれ5個のファンクションボタンを装備。音色やオクターブ、テンポの変更、レイヤーやブロックの切り替えといった操作はこのファンクションボタンを押しながらLEDボタンを押して行う

LEDボタンは基本的には縦列がピッチ、横列が時間軸となり、たとえばScoreモードでは各LEDボタンを押して点灯させると、ループ再生時にその位置およびピッチで演奏される。このScoreモードは通常のステップシーケンサ的な動作だが、TENORI-ONには他にRandom、Draw、Bounce、Push、Soloと合計6つのパフォーマンスモードが搭載されている。TENORI-ONではサウンドデータの管理にレイヤーという概念を取り入れており、16レイヤーでそれぞれ異なるパターンを入力し、同時に演奏できる。さらにこの16レイヤーを1つのブロックとして扱い、最大16ブロックを記憶し、ブロックを切り替えながら演奏することも可能となっている。

上部フレームにはステレオスピーカーを搭載している

下部フレームにはディスプレイとジョグダイアル、OK/CANCELボタン、ヘッドホン/ラインアウト端子とMIDI端子を装備

内蔵音源方式はAWM2音源で、最大同時発音数は32音。プリセット音色数は239種+ドラム音色が14キットの合計253種類。2系統の内蔵エフェクトも備え、リバーブは10タイプ、コーラスは5タイプが用意される。

本体サイズは205×205×32mm、重量は約700g(電池含まず)。本体の素材はマグネシウム合金で、デザインと質感にもこだわり、仕上げは日本国内において職人が1台ずつ手作業で磨き上げているという。電源には単三乾電池6本を使用。デモソング再生ならば約5時間の連続再生が可能。製品にはACアダプタも付属する。

本体にはヘッドホン/ラインアウト端子とMIDI端子(mini DIN)を搭載。同梱のMIDIケーブルを使用し、2台のTENORI-ONを同期演奏させたり、TENORI-ONから出力されるMIDIデータをパソコンで記録する、といったことが可能。

本体上面にはSDカードスロットを備え、作曲したソングやレイヤー、ブロックといったデータを保存/読み込むことができる。またTENORI-ONはSDカードを利用して、オリジナルのサンプリング音(WAV/AIFF)をユーザーボイスとして読み込み、演奏に利用することも可能となっている。1つのユーザーボイスには16個のサンプリング音を読み込むことができ、最大3つのユーザーボイス設定が可能。このサンプリング音の読み込みは付属のパソコンソフト「TENORI-ON User Voice Manager」を使用し、パソコンからSDカードに転送して行う。

なおTENORI-ONの国内販売は製品公式Webサイトのみで行われるが、製品の展示はレコードショップや美術館といった全国の展示拠点で行われる。現時点では東京、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、福岡と合計8都市で展示予定となっており、展示拠点についても製品公式Webサイトで随時発表される予定だ。