インターネットカフェなどを住居代わりとして生活する若年層ら、いわゆる"ネットカフェ難民"を支援するための東京都のサポートセンター「TOKYOチャレンジネット」が23日、メディア向けに公開された。同日から始まった電話相談には、事前に情報を知っていた住居喪失者らからの相談が殺到。25日に始まる窓口相談の初日の予約はすでに一杯となった。

23日に公開された"ネットカフェ難民"サポートセンター「TOKYOチャレンジネット」

TOKYOチャレンジネットが開設されたのは、東京都でも最も多くのネットカフェが集中する新宿区歌舞伎町にある東京都健康プラザ「ハイジア」の3階。住居を維持するための安定した仕事を紹介する就労相談コーナー、生活資金や住居資金の貸付などの相談に応じる生活・居住相談コーナーからなり、個別相談に応じるための個室ブースも5室用意されている。

電話による相談が始まった23日は、事前に情報を知っていた住居喪失者らからの相談が午前から相次ぎ、午後2時半時点で21件もの相談が寄せられた。

次々と寄せられる電話相談に対応する相談員

TOKYOチャレンジネットでの相談は窓口相談が原則で、電話相談では相談者の簡単な現況確認と窓口相談の予約を行う。25日に開始する窓口相談の初日の予約は、23日午後2時半時点ですでに一杯となった。

メディア公開中の時間帯にも電話相談は相次ぎ、相談員の一人の広田研二氏の元には、かって都内に住居を持っていたが、今では日雇いの仕事をしながらネットカフェを転々としているという44歳の男性から電話があった。広田氏は男性の状況を聞きながら、予約受付票に必要な事項を書きとめ、男性の窓口相談日を設定した。

住居を維持するための安定した仕事を紹介する就労相談コーナー

個別相談に応じるための個室ブース

広田氏ら生活・居住相談を行う相談員は、TOKYOチャレンジネットの業務を受託したやまて福祉会のメンバーで、同福祉会では路上生活者らの支援などを行っていた。

初日もかかわらず電話相談が相次いだことについて広田氏は、「クチコミなどでTOKYOチャレンジネットの事を知っていた人たちが、相談開始を待ちわびていたのではないか。それだけ救済を必要としている人がいるということ」と語った。

TOKYOチャレンジネットが開設された新宿区歌舞伎町の東京都健康プラザ「ハイジア」

電話予約をした人たちを対象に25日から始まる窓口相談では、一人約1時間を想定し、個室ブースで相談員が相談に応じる。生活・居住相談では、相談者がどういう生活を送っているか、健康状態はどうなっているかなどについての相談に応じるほか、民間賃貸物件の情報提供や賃貸借契約の支援、敷金・礼金など住居確保に必要な資金の貸付など、居住相談業務も実施する。

資金貸付は、(1)20歳以上、(2)直近6カ月以上都内で継続的に生活している、(3)現在何らかの仕事に就いていること、などが条件。貸付資金は、住宅資金が40万円、生活資金が20万円、無利子で保証人は不要。据置期間は6カ月、償還期間は最大5年となっている。

また、厚生労働省から派遣されたキャリアカウンセラーが行う就労相談では、面接の対応法や履歴書の書き方などについても、細やかなアドバイスを行うという。

TOKYOチャレンジネット所長となった新津伸次氏

TOKYOチャレンジネット所長となった新津伸次氏は、「ネットカフェ難民に甘いのではないかという声があるのも承知しているが、これらの人たちは自らの責任ではなく家族や社会から断絶されてしまった人も多い。まず困っている事が何かを教えてもらい、それから解決法を共に考えていきたい」と話している。

窓口相談は、月・水・金・土は10時~17時、火・木は10時~20時(日・祭日は休み)。電話相談は年中無休で10時~24時、電話番号は0120-874-225。ゴールデンウイーク中の4月29日、5月3日~5月6日には、窓口において特別相談を実施する予定で、受付時間は10時~17時となっている。

さらに25日からは、ホームページ(http://www.tokyo-challenge.net/)も開設し、メールによる相談も受け付ける。