BMCソフトウェアはは23日、ITILリーダー育成とITIL実務者育成を同時に行う教育プログラム「BSM Activation」を発表した。ごく短期間で実施される集団参加型プログラムで、戦略構築の重要性をリーダー個人のみならず、組織全体で理解することを目標にしている。他の先進諸国に比べて圧倒的に少ないと言われている国内のITIL実務者数の底上げだけでなく、「自分の言葉で、経営とITを結びつけた戦略を説明できる、真の意味でリーダとなる人材」(BMCソフトウェア BSMシニアアーキテクト 松本浩彰氏)を数多く育成したいとする。

BSM Activationは、ITILリーダー育成コースの「BSM実践コースI」「BSM実践コースII」と、ITIL実務者育成コースの「ITIL V3 Foundationエッセンス」「Airport Simulation」「ITIL V3 Expertエッセンス」から構成される。

ITILリーダー育成

コース名 日数 定員 内容 価格(税抜)
BSM実践コースI 1日 20名 戦略構築の概論、SWOT分析、リスク分析、戦略マップ構築、KGI、KPI、各演習 10名まで35万円、11 - 20名は1名につき2万円追加
BSM実践コースII 1日 20名 BSM実践コースI参加企業の業務内容に適用する実践ワークショップ 10名まで35万円、11 - 20名は1名につき2万円追加

ITIL実務者育成

コース名 日数 定員 内容 価格(税抜)
ITIL V3 Foundationエッセンス 1日 20名 戦略のITIL V3プロセスへの適用(Service Strategy→Service Design→Service Transition→Service Operation→Continuous Service Improvement) 10名まで45万円、11 - 20名は1名につき2万5,000円追加
Airport Simulation 1日 20名 「ITオペレーションは就航を滞りなくサポートし、売上に貢献できるか」といった空港でのオペレーションを通じ、ITILとBSM(Business Service Management)の必要性を体感するシミュレーションゲーム 16名まで40万円、17 - 20名は1名につき2万5,000円追加
ITIL V3 Expertエッセンス 2日 20名 ITILリーダー育成に向けての改善の必要性から、戦略策定をCOBITなどさまざまな視点からの演習を行う 10名まで80万円、11 - 20名は1名につき5万円追加

BMCソフトウェア BSMシニアアーキテクト 松本浩彰氏

同プログラムは、ITサービスマネジメントに関する教育プログラムのエキスパートであるITプレナーズ・ジャパンの協力の下、BMCソフトウェアが開発/体系化したもので、ITコーディネーター資格をもつITIL講師が派遣される。

最大の特徴は、きわめて短い期間におけるITリーダーの育成を主眼に置いていることだ。松本氏によれば、日本国内のITIL市場は決して小さくなく、ITIL認定資格への注目度も高いという。だが、初級者向けの「ITIL Foundation」の資格保有者が4万人を超えているのに対し、上級者向けの「ITIL Manager」はわずか167人(2007年末時点)で、「他の先進諸国でこれほどITIL Managerの比率が低い国はない。これはハイスキルの人材を生み出すエンジンが(国内に)ない表れ」と松本氏は厳しく指摘し、この状態が続けば日本のIT競争力を低下させる足かせにもなりかねないという。「重要なのは資格の有無ではなく、論理的にITと経営を結びつけて思考する力をもったリーダーを早い期間で数多く輩出すること。そのためにはマネジメントスキルを経験ではなく理論として、短期間のうちに把握できるプログラムが必要」(松本氏)。

また、企業全体のITIL導入を推進するため、「力をもったリーダーを数名養成したところで組織は変わらない。企業戦略としてのITをどう位置づけるかについて、組織として新たな価値観を得、それを全員で共有することで戦略構築が可能になり、コミュニケーションの活性化にもつながる」(松本氏)という理由から、個人ではなく組織単位での受講を前提にしているのも特徴的だ。

「ただの座学ではなく、実際にITオペレーションを体験する演習をふんだんに盛り込んであり、通常のITIL研修の重要な部分を凝縮させたプログラム。最終的なゴールは、受講者自身が戦略シナリオを作り、それを分析/説明できるようにすること」(松本氏)、論理的思考が苦手とされる国内のIT担当者に、体系的なプログラムを提供することで、"経営的視点をもったITリーダー"の短期養成を図り、「ITサービス担当者の社会的地位向上に貢献したい」(同社)とする。

BMCソフトウェアでは、6月30日終了までの講義については両コースともキャンペーン価格での提供を行う予定だ。