米Appleがプロセッサメーカーの米PA Semiを買収したと、経済誌の米Forbes(オンライン版)が4月23日付けの記事で報じている。同誌に対してApple側も買収の事実を認めたという。買収金額等の詳細についてコメントしていないが、同誌の報道によれば買収総額は2億7800万ドルで、全額キャッシュによる取引だという。PA SemiはAlphaやStrongARMの設計などで知られるDan Dobberpuhl氏が率いるファブレスのプロセッサメーカー。主に低消費電力プロセッサの設計を強みとしており、PWRficientなどの製品がある。Appleでは同社の技術をiPhoneやiPodなどの携帯機器に応用するものとみられる。

PA Semiは2003年創業で、米Intelなど多くのプロセッサメーカーが本社を置く米カリフォルニア州サンタクララを拠点としている。創業者であり、同社を率いるリードデザイナーのDan Dobberpuhl氏は、DEC時代に高性能プロセッサのAlphaや超低消費電力プロセッサのStrongARMの設計を行っていたことで知られる。現在PA Semiの従業員は150人を数えるが、そのエンジニアらは以前までIntel ItaniumやAMD Opteron、Sun UltraSPARCなどの設計チームにいたメンバーである。主力製品は高性能・低消費電力プロセッサの「PWRficient」で、これはPowerアーキテクチャのPA6Tコアがベースになっている。また自らは製造施設を持たず、設計を中心に行うファブレスのプロセッサメーカーである点も特徴だ。

米Apple広報のSteve Dowling氏はForbesの記事の中で「Appleはその時々で小さなテクノロジー企業らの買収を行っており、その目的や計画については一般にコメントしていない」と述べており、買収を認める一方でその詳細についてはコメントを断っている。だがAppleが低消費電力を強みとするプロセッサメーカーを買収したことで、今後同社は携帯機器などの低消費電力を求められる分野ではIntelのAtomではなく、PA Semiの製品を選択する可能性が強まったといえるだろう。なおAppleは23日14時(米太平洋時間: PDT)に同社2008年度第2四半期(1-3月期)決算の発表を予定しており、PA Semi買収の正式アナウンスはこの場で行われる見込みだ。