スイスのフラッシュメモリベンダNumonyxの日本法人「ニューモニクス・ジャパン合同会社」は東京で記者会見を開催し、Numonyxの概要や日本市場における取り組みなどを説明した。

Numonyxは伊仏合弁STMicroelectronics、米Intel、米投資会社Francisco Partnersの3社が出資するフラッシュメモリの合弁会社で、この3月31日に発足したばかり。

NOR型フラッシュメモリの市場シェア(左)と不揮発性メモリ全体の市場シェア(右)

STMicroelectronicsはNOR型フラッシュメモリ事業とNAND型フラッシュメモリ事業、相変化メモリ(PCM:Phase Change Memory)技術、韓国Hynix Semiconductorとの合弁事業をNumonyxに譲渡した。IntelはNOR型フラッシュメモリ事業と相変化メモリ技術の一部をNummonyxに移譲した。この結果、Numonyxは製品系列にNOR型フラッシュメモリとNAND型フラッシュメモリ、モバイルRAM(PSRAM)、相変化メモリを有する、半導体メモリの大手ベンダとなった。

相変化メモリ(PCM)のチップ写真。128Mビット品。現在はサンプル出荷中。2009年には本格的な量産を始める予定

Numonyxの拠点は研究開発拠点3カ所、前工程工場3カ所、後工程工場3カ所におよぶ。垂直統合型の半導体企業といえる。研究開発拠点はイタリアのAgrateと米カリフォルニア州のFolsomおよびSanta Claraにある。前工程はイタリアのCataniaとイスラエルのQiyat-Gat、シンガポール、後工程はフィリピンとマレーシア、中国にラインを有する。世界全体での従業員数は約7000名。

Numonyxとともに誕生した日本法人のニューモニクス・ジャパンは、東京・品川に本拠地を構える。STMicroelectronicsの日本法人STマイクロエレクトロニクスと、ほぼ同じ本拠地である。従業員数は約70名。社長は吉田幸二氏が務める。吉田氏はインテルに20年近く勤務した後、最近はウインドリバーでコーポレートセールス担当バイス・プレジデントを務めていた。

ニューモニクス・ジャパン社長の吉田幸二氏

ニューモニクス・ジャパン製品の販売代理店はSTMicroelectronicsおよびIntelの現行の代理店が当初はそのまま引き継ぐが、将来は統廃合がありうるとした。なお筆者の調べによると、STMicroelectronicsの日本国内における販売代理店はアムスク、クロニクス、三信電気、トーメンエレクトロニクス、伯東、松下トレーディングである。Intelのフラッシュメモリを取り扱っている販売代理店には岡谷エレクトロニクス、トーメンエレクトロニクス、ユニダックス、菱洋エレクトロなどがある。

日本市場では、組み込み分野と携帯電話機分野に力を入れると吉田社長は説明した。Numonyxの事業ユニットはワイヤレス・ビジネス・グループ(携帯電話機分野)、エンベデッド・ビジネス・グループ(組み込み分野)、データ・ビジネス・グループ(NAND型フラッシュメモリの製品分野)に分かれている。

組み込み分野を強化するため、エンベデッド・ビジネス・グループの拠点を日本に設け、日本の半導体ユーザーの要望に合わせた製品を開発していく。当初は温度範囲やパッケージなどの一部の仕様が標準品とは異なる要求に対応する。将来は製品ファミリの全体仕様に、日本の半導体ユーザーの要望を反映させていきたいと吉田社長は述べていた。

エンベデッド・ビジネス・グループの日本における活動

なおNumonyxの年間販売額と製品分野別販売額比率は明らかにしていない。STMicroelectronicsとIntelの2007年における対象製品の売上高はおよそ30億ドルだとしている。