マカフィーは、暗号化テクノロジを搭載したデータプロテクションソリューション「McAfee Total Protection for Data」を8月より発売すると発表した。

「McAfee Total Protection for Data」は、エンドポイント暗号化、デバイス管理、ホスト型情報漏えい対策を組み込んだスイート製品で、ディスク全体からファイル単位での暗号化と認証機能で保護する「McAfee Endpoint Encryption for Devices」、ユーザーアクションに対する可視化と制御を行う「McAfee Host Data Loss Prevention」、リムーバブルメディアデバイスの無許可使用を防止する「McAfee Device Control」で構成されている。

情報流出後の対策もカバー

マーケティング本部 本部長の久我信之氏

マーケティング本部 本部長の久我信之氏が「マカフィーでは積極的に新分野の製品を買収している」と語るように、同社では2006年10月にデータ監視製品「DLP(Data Loss Prevention)」のOnigma社(イスラエル)を、2007年10月には暗号化製品「SafeBootシリーズ」のSafeBoot社(オランダ)を買収している。この2つのソリューションを統合したのが、暗号化機能搭載の情報漏えい対策ソリューション「McAfee Total Protection for Data(以下、ToPS Data)」だ。

持ち出し制御やログ収集など“情報流出前”の対策はもちろん、暗号化機能の搭載により“情報流出後”の対策までをもカバーしたものとなる。久我氏は「日本では個人情報保護法に加えて、今月からはいよいよ「金融商品取引法(J-SOX法)」が施行された。コンプライアンスの観点からもぜひ活用していただきたい」と語る。今後は新たに設立したデータプロテクション事業部内で、より積極的な製品展開を進めるという。

92%ものユーザーが安全だと誤解

データプロテクション担当 グループ・ソリューション・マーケティングマネージャーのクリス・パーカーソン(Chris Parkerson)氏

データプロテクション担当 グループ・ソリューション・マーケティングマネージャーのクリス・パーカーソン(Chris Parkerson)氏は、「現在のセキュリティは最悪な状況」と語る。これは、市場に数多くのセキュリティ製品が出回っており、同時に企業が対応すべき脅威も増加、その結果としてIT環境や施策そのものが過度に複雑化しているからだ。

パーカーソン氏が例に挙げたForrester Recearchの調査結果では、2008年の終わりに世界中で10億台のパソコンが使われ、2015年にはさらに倍近くまで達するという。しかし、個人ユーザーの78%は標準的なセキュリティを怠っており、48%はセキュリティソフトが期限切れの状態となっている。そんな状況にもかかわらず、92%ものユーザーが“セキュリティは大丈夫”と思っているのは非常に危険な事態であり、個人ユーザーや企業の多くは現在のセキュリティが有効だと誤解しているわけだ。

アメリカでは、IDの盗難が大きな問題となっている。パーカーソン氏は闇市場におけるIDの価値について「例えば、1枚分の暗証番号付きクレジットカード番号は490ドルで取引されており、犯罪者はこれだけの金額を支払ってでも情報を得たいと思っている」と語る。

92%ものユーザーが“セキュリティは大丈夫”と誤解しているというForrester Recearchの調査結果

アメリカの闇市場におけるIDの価値

企業の持つ情報にはそれだけの価値があり、犯罪者はあらゆる手段を講じても入手しようとするため、犯罪が大規模化かつ蔓延してしまうわけだ。また、Merrill Lynch社がアメリカの最高情報セキュリティ責任者「CISO(Chief Information Security Officer)」を対象に行った調査では、情報保護は彼らが取り組むべき最優先事項になっているという結果が出ている。これは、携帯デバイスの爆発的な増加、個人情報の規制強化、社会的評価の毀損や開示コストの発生が大きく影響しており、データの日常的な紛失や盗難を避けることが必要といえる。

ポイントツールでは不十分

パーカーソン氏は「ポイントツールでは問題が解消できない」と語る。多ベンダーの製品を集めた場合には、どうしても管理コストの高騰や、セキュリティポリシーとの整合がとれないといった問題が出てくる。さらに、ライフサイクルの脆弱性、通常業務への悪影響、一元監視の欠如による情報漏えいリスクも懸念されるところだ。そこでToPS Dataのように、あらゆるケースに対応し、同時にコンプライアンス強化も行える総合的な情報漏えい対策ソリューションが必要なのである。

ToPS Dataでは、データの使用法やロケーション、保管場所やアクセス権に関わらずデータの保護が可能になるほか、ポリシー管理と施行の一元化監査、レポーティング機能による完全な可視性も実現している。また、コンテンツやコンテクストを意識したプロテクション、データの種類に応じて外部デバイスへの転送許可も行えるため、通常業務への影響を最小限に抑えることが可能だ。

総合的な情報保護を実現する「ToPS Data」

スイート製品の「ToPS Data」だけでなく、DLPアプライアンスなどポイント製品としても提供が行われる

販売価格の例としては、501~1000ノードの場合で1ノードあたり2万6,500円(旧SafeBoot導入顧客向け価格あり)で、これには1年分のスタンダードサポートも含まれている。