2009年公開の映画『少年メリケンサック』の会見が20日、東映・大泉撮影所で行われ、監督の宮藤官九郎をはじめ、宮崎あおい、佐藤浩市、木村祐一、ユースケ・サンタマリアらが出席した。

役の衣装で登場したキャストたち。前列左から、木村祐一、宮崎あおい、佐藤浩市
後列左から、宮藤官九郎、ユースケ・サンタマリア、田口トモロヲ、三宅弘城

宮藤官九郎の監督作第2弾となる『少年メリケンサック』は、レコード会社勤務のOL・栗田かんな(宮崎)が、パンクバンドのおっさんメンバーたちに振り回され、もみくちゃにされるというコメディー。かんなは、ある動画サイトで偶然見つけたイケメン4人組の凶暴パンクバンド「東京メリケンサック」を売りだそうとするが、会ってみるとメンバーは50を過ぎたおっさんたち。しかも協調性はなく、性格も凶暴そのもの。そんな4人たちに翻弄されながらも、かんなはその才能を信じ、全国ツアーを敢行するまでを描く。

宮崎は同作でハジけた役柄に初挑戦。「現場では常に笑っていて、楽しい芝居をすることができました」と語り、これまでのイメージを破る体当たりの演技が注目といったところ。宮藤監督も「コメディエンヌとしてすばらしいですね。殴られたり、叫ぶという、結構きついシーンを喜々として演じているので、どうしちゃったのかなぁって思うくらいです(笑)」と絶賛した。

「パンクのような激しい音楽は好きじゃなかったんですけど、皆さんの曲を聴いてかっこいいなと思いました。でも、メンバー入りはお断りします(笑)」(宮崎)

監督作第2弾となる『少年メリケンサック』。「兄弟の愛憎劇をやりたかった」(宮藤)

そんな宮崎を翻弄するおっさんバンドのメンバーも個性的。硬派な役を演じることが多い佐藤浩市が、凶暴で酒癖の悪いベーシストのアキオを演じ、その弟でアキオとは絶縁状態であるギター担当のハルオを演じるのは、キム兄こと木村祐一。事故の後遺症で言語障害があり、滑舌が悪いボーカル・ジミーは、田口トモロヲが演じ、宮藤監督のパンクバンド「グループ魂」のメンバーでもある三宅弘城がモヒカンドラマーを演じる。また、ユースケ・サンタマリアは、かんなの所属するレコード会社の社長を演じ、いい加減ぷりを発揮する。

「とりあえず、今のところはバンドの解散はないです(笑)。いい感じですね」(佐藤)

「若い頃にギターをやっていたことがあったので青春時代を思い起こさせてくれる作品」(木村)

「監督が『ここまで演っていいんでしょか?』というほど、かなりデンジャラスな役です」(田口)

「監督とは同い年で、感覚が似ているんですよ。今回はいつもより濃い内容になっているのでは」(ユースケ)

また、宮藤監督が「演奏がうまくなりすぎて問題になったくらい(笑)」と語るように同作の見せ場は何といってもライブシーン。撮影は実際のライブハウスで行われ、田口が客席にダイブするなど、異常な盛り上がりを見せたという。佐藤も「ミリオンヒットを狙いますよ」と自信たっぷりだ。作品の音楽を向井秀徳が担当し、メインテーマ曲を銀杏BOYZが手がけるというこれまた豪華な布陣も注目だろう。そして、宮藤監督といえば「笑い」だが、佐藤が「映画としてはいいんでしょうけど、果たして地上波で放送できるのか? これがかなりの問題です(笑)」と語るようにきわどいシーンもふんだんに盛り込まれるという。

同作は3月17日にクランクインし、5月8日に撮影終了予定。8月には完成し、2009年春公開を目指している。宮崎は撮影が終了しており「撮りこぼしあるといいなと思ったくらい、撮影は楽しかった」と感想を語っていた。