米IDCは、日本を除くアジア太平洋地域における携帯電話市場の最新動向などを調査した最新レポート「IDC Asia/Pacific Quarterly Mobile Phone Tracker」の発表を行った。伸び続ける同市場の中でも、さらなるユーザー層の拡大を期待できるブランドと、厳しい競争を強いられるブランドとの二分化も見られ始めている。

同レポートによれば、昨年のアジア太平洋地域向けの携帯電話出荷台数は、前年比18%増となる約3億6,600万台を記録したとされる。今後もこの地域では順調な成長が見込まれ、今年の携帯電話出荷台数は、初めて4億の大台に乗るとも予測されている。

同社のAsia/Pacific Personal Systems Research部門を率いるAloysius Choong氏は「アジア太平洋地域でも、特にインドと中国の成長は目ざましく、この両国で6割以上の出荷台数シェアが占められている。とりわけ今年はインド市場の急成長を予測しており、前年比19%増となる好調な伸びが記録されるだろう」とコメントしている。

インドの携帯電話普及率は約2割に過ぎず、年内には新たに携帯電話番号ポータビリティ制度もスタートすることから、一層の携帯電話市場の活性化が期待できるという。一方、中国の携帯電話普及率も約4割と、まだ成長の余地を残しており、最近では国内メーカーの低価格モデルなどが好調で、引き続き携帯電話市場は盛り上がりを見せているようだ。

なお、同社が同地域の2,126名の携帯電話ユーザーを対象に実施した「Asia/Pacific Joint Mobility Survey」調査レポートによると、現在使用中の携帯電話メーカーの製品を、次に購入するモデルでも使い続けたいかとの問いに対して、Nokiaのユーザーの68%、Samsungのユーザーの48%、Sony Ericssonのユーザーの46%が肯定。この3メーカーが、過去1年間で順調に市場シェアを拡大した。特にNokiaの同地域におけるシェアは、昨年は5割を超えるまでに拡大しており、今後も安定したブランド力を維持しそうな勢いが見られている。

新しい携帯電話を購入するとき現在と同じメーカーの製品を使いたいかとの問いに対し、青=はい、黄=いいえ、赤=わからない、と答えた人の割合。Nokiaの人気が際立っている
出典: IDC Asia/Pacific Quarterly Mobile Phone Tracker(2008年3月)