米IBMの研究者らは17日(現地時間)、将来到来することになるマルチコアプロセッサ時代に大きなメリットとなる新しい通信技術を開発したと発表した。これはマルチコアプロセッサ内のコア間通信を従来の銅配線ではなく、シリコンフォトニクス技術を用いた光通信で実現しようというもの。電気信号を光信号に変更して送受信する仕組みに加え、光の情報を適切なルートへ転送する"光スイッチ"装置の2つのコンポーネントで構成される。その特徴は光スイッチ回路のサイズが非常に小さく、通常の銅配線に比べて消費電力が少なく済み、転送可能なデータ量が多い点にある。
IBMによれば、今回の発表は同社がこれまで行ってきたオンチップでの光通信技術研究の一環だという。同社は2005年11月、光の速度を大幅に落として、その速度を制御するための回路の開発に成功した。翌2006年12月には、1バイト以上のデータを光信号に変更してため込むデモを披露している。そして昨年2007年12月には、超小型の電子-光変換器の開発成功をアナウンスしており、オンチップでの光通信技術に必要な基本要素が整いつつある。そして今回の小型光スイッチ回路の開発成功をもって、プロセッサ上の基本的なコア間光通信が初めて可能になった。とくにマルチコア時代にはコア数が多くなり、コア間の転送データ量や通信経路も複雑となるため、こうした光スイッチの存在はより重要なものとなる。
プロセッサがマルチコア化し、将来的にはその数がより増える傾向にある。IBMでは、このようにコア数が増えることで転送されるデータ量は膨大なものとなり、従来の銅配線による通信では通信路そのものがボトルネックになると指摘する。これを光通信路と光スイッチで置き換えることで、高速化と省電力の両面でメリットを享受できるという。
同社が指摘する今回の技術のポイントは2つあり、1つはスイッチが非常に小型でプロセッサ上への搭載が容易なこと、2つめに転送データ量が非常に多いことが挙げられる。光通信では単一の波長ではなく、異なる波長(つまり色)の信号を同時に同じ通信路に送出することで、通常よりもより多くのデータを一度に送受信することが可能になる。単位波長あたりの通信速度は最大40Gbpsで、これを複数束ねてスイッチ可能な範囲で容量を増やしていくと1Tbps(1000Gpbs)以上のパフォーマンスが実現できるようになる。電力消費の少なさもメリットで、転送データ量が従来比で100倍に達する一方で、消費電力は10分の1と非常に少ない。
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