IE8、Silverlight 2、Expression Studio 2のベータ提供開始

米Microsoftは3月5日 (現地時間)、米ネバダ州ラスベガスで開催中のMIX08でCSA (Chief Software Architect) のRay Ozzie氏が基調講演を行い、同社におけるWebやサービスの役割について説明した。また開発中の「Internet Expolorer 8 (IE8)」、「Silverlight 2」、「Expression Studio 2」のデモを披露すると共に、開発者やデザイナー向けにベータ版のダウンロード提供を開始した。

Webが人々のソーシャルライフやテクノロジ利用の中で大きな役割を占めるようになる一方で、人々のデジタルライフの断片化も起こっている。そのソリューションとしてOzzie氏はWebをハブ (Web as a hub)とするビジョンを示した。Webを媒介に各種デバイスがメッシュ状につながることで、膨大なデジタルコンテンツを効率的に管理し活用できるようになる。将来Webコンテンツのリンクや共有、タグが、PCにおけるファイルや編集、表示と同じように人々に受け入れられるようになるとした。同氏はまた、今後も広告がWebサービスとアプリケーションから収益を上げる主要な方法になるという見通しを示した上で、MicrosoftがYahoo!買収に乗り出した明確な理由の1つとして、Yahoo!のクリエイティビティとWeb資産を挙げた。

IE8にActivitiesとWebSlices

IE8については、Internet ExplorerチームのゼネラルマネージャーであるDean Hachamovitch氏が、実例を交えながら標準準拠を強化する姿勢を改めてアピールした。IE8の最終版ではCSS (Cascading Style Sheet) 2.1をフルサポートする。開発者およびデザイナー向けに、IE8のサイトを通じてダウンロード提供が始まったベータ版には、「Activities」や「WebSlices」などの新機能が含まれる。Activitiesは、IE8で開いているWebページから移動することなく、他のWebサービスへのアクセスを実現するコンテクスチュアル・サービスだ。例えばレストランの場所を調べる場合、レストラン情報のページから住所をコピーし、新たなページでマップサービスにアクセスして、住所をペーストするという作業が必要である。IE8(ベータ)では住所のテキストをハイライトして右クリックすると、インストールしてあるアクティビティのメニューが展開する。Live Search Mapのアクティビティを導入していれば、ワンクリックで画面上にレストランの場所をマップ表示できる。WebSlicesは、対応するWebサイトから直接、特定のWebコンテンツの購読を可能にするRSS機能だ。例えばeBayのオークションで、アイテムがWebSlicesに対応していると、その横にWebSlicesボタンが表示される。クリックするとそのアイテムだけのオークション情報を購読できる。登録したWebSlicesにはFavoritesバーからアクセスできる。

Silverlightは、クロスブラウザ、クロスプラットフォームなリッチインタラクティブアプリケーション(RIA)を実現する.NETベースのプラグインだ。MIX08開催直前にNokiaがSilverlight採用を発表したのに続いて、MIX08ではSilverlight for Windows Mobileを提供する計画も明らかにされた。Silverlight 2のベータ版は、Silverlightのサイトから入手可能。Deep Zoomなどの新機能、40を超えるコントロールやリッチな.NETベースのクラス・ライブラリが含まれる。

Silverlightはプラグインが1日約150万ダウンロードされるまでに成長してきた。MIX08ではSilverlight 2を使ってインタラクティブにロックンロールの歴史に触れられる「Memorabilia 2.0」をHard Rockが紹介したほか、DoubleClickがビデオ広告ソリューション「In-Stream」を使って、Silverlight 2 SDKのデモを披露した。

WebデザインスイートExpression Studio 2は、Silverlightに対応し、Expression WebがPHPをサポートする。ベータ版はMicrosoft Expressionのサイトから入手可能。同社はまた、デザイナーがSilverlight 2を試せるように、Expression Blend 2.5 March 2008 Previewの提供も開始した。