米Sun Microsystemsは2月12日(現地時間)、オープンソースの仮想化ソフトウェア「VirtualBox」の開発で知られる独InnoTekの買収で合意したと発表した。買収金額等の詳細は公表されていない。VirtualBoxはデスクトップ向け仮想化ソフトウェアで、Windows、Linux、Mac OS X、Solarisなどx86プラットフォームで動作する幅広いOS製品をサポートする。Innotekの買収で、Sunは同社の仮想化技術「xVM」シリーズの製品ポートフォリオを補完するのが狙い。

InnoTekはドイツのシュトットガルトを拠点とする1992年設立の未公開企業。1990年代は主にOS/2周辺のソフトウェア開発で活躍し、近年ではデスクトップ向け仮想化ソフトウェア「VirtualBox」が同社のフラッグシップ製品となっている。VirtualBoxは、VMware、MicrosoftのVirtual PC、Parallelsといった製品のライバルにあたるが、その特徴は前述のような幅広いOSプラットフォームや周辺機器のサポートにある。仮想化環境上で動作するホストOSとしてDOSからOS/2、Netware、Windows 3.1まで旧製品を数多くカバーし、USB周辺機器もゲストOSからそのまま利用できる。2007年1月にはVirtualBoxのGPLでのオープンソース化が発表され、誰でも気軽にダウンロードして利用することが可能になった。オープンソースソフトウェア(OSS)版VirtualBoxではUSBサポートやネットワーク機能の一部で制限があるものの、OSS化されていないフル機能版でも個人用途ではライセンスで無償使用を認めているため、上記メリットをそのまま享受できる。

Sunは2007年11月、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたOracle OpenWorldにおいて「Sun xVM Server」「Sun xVM Ops Center」の2製品で仮想化ソフトウェア市場への参入を発表している。前者はサーバ環境向けのハイパーバイザ、後者は仮想化リソースの管理ソフトウェアにあたり、データセンターなどの大規模環境での利用を想定している。同社ではVirtualBox獲得でクライアント側の仮想化ソリューションを補完し、開発者やユーザー企業向けにアプリケーションのテスト/実行環境を提供するのが狙いだと考えられる。

JavaやSolarisのOSS化など、オープンソースコミュニティへと急接近しているSunだが、OSS製品を主体とする企業を買収するのは最近ではこれが2社目となる。同社は1月16日(現地時間)、OSSのRDBMSで人気のMySQL ABを買収しており、コミュニティでのプレゼンスが急拡大している。