インターネットで問題化しつつある「ドメイン・テイスティング」に一定の歯止めはかけられるのか……インターネットの管理団体が問題解決に向け1つの方策を提示した。

国別のドメインであるTLDs(Top-Level Domains)などを管理するICANN (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は1月29日 (米国時間)、ドメイン登録を行った段階でICANNが登録料の徴収を行う仕組みの導入を提案した。これは、ドメインを取得した際に与えられる5日間の無料試用期間「Add Grace Period(AGP)」を利用して、その間に素早く登録から即削除を繰り返すドメイン・テイスティング (Domain Tasting)という行為を防止するためのもの。ドメイン・テイスティングは金銭を目的としている。そうしたドメインのトップページに広告等を貼り付けて利ざやを稼いだり、その期間のトラフィック分析からユーザーが誤ってアクセスしやすいドメインを見つけ出し、広告を含むさまざまな仕掛けを施して利益を上げる。

AGPは本来、ドメインの登録者であるレジストラ(Registrar)が誤ってドメインを登録した場合のコスト負担を軽減するため、ドメイン名を管理するレジストリ(Registry)が提供していたサービスの一種である。だがこうした仕組みを悪用する事業者や個人が出現し始め、前述のように商用目的に活用したり、あるいは「ドメイン・カイティング(Domain Kiting)」のようにAGP期間終了直前にドメインを削除して即再登録を行うことで無料でドメインを乗っ取る行為が横行するなど、マイナス面がクローズアップされるようになった。ICANNによれば、こうした行為は2004年に急増し始め、2007年1月の時点でドメイン・テイスティング上位10業者が関わったドメインの数は、同期間に削除が行われた「.com」「.net」ドメインのうちの実に95%に上るという。4782万4131ドメインのうち、4545万897ドメインと膨大な数である。

こうした行為を裏付けるデータは、CADNA (Coalition Against Domain Name Abuse)の1月30日(米国時間)の発表からも読み取れる。2007年9月18日の時点で期限が切れる.com/.netドメインのうちランダムに抽出した1万7000個の動向を追いかけたところ、そのドメインすべてが即座に再登録されたという。さらに動向を追跡したところ、.comドメインのうちの39.8%が再び期限切れで即再登録され、.netドメインでも32.2%の割合で同様の傾向が見られたという。CADNAではこうした行動を「Drop Catcher(落とし物拾い)」と呼んでおり、このような傾向の見られた.comドメインのうちの87%がPPC (Pay Per Click)広告を貼り付けたサイトに流用されているという。

ドメイン登録を請け負う事業者側でもこうした行為を問題視しており、米GoDaddy.comが登録の際の保証金を条件としたり、米Network Solutionsでは一度の大量ドメイン登録に制限を加えるなど、さまざまな方策を打ち出している。

ICANNによれば、今回の登録時点で費用を徴収するアイデアは、早ければ同団体の予算年度の開始日である2008年7月1日の事業目標にも盛り込まれることになる。1月末にニューデリーで開催されるICANNの会議で話し合いが行われ、5月17日の追加議論を経て、6月にパリで開催される会議にも導入の是非を問う投票が行われる。