米Scaled Compositesと英Virgin Galacticは、民間の有人宇宙船「SpaceShipTwo」とその母艦「WhiteKnightTwo」のデザインを初めて公開した。現在、Scaled Compositesが米カリフォルニア州南部のモハーベ砂漠にある同社の施設内にて製造中で、今年(2008年)の夏にも飛行試験を行う予定。

有人宇宙船「SpaceShipTwo」とその母艦「WhiteKnightTwo」 - 有人宇宙船「SpaceShipTwo」は、母艦である「WhiteKnightTwo」の中央に搭載され、上空まで運ばれる

Scaled Compositesは、2004年に民間機として世界で初めて有人宇宙飛行に成功した「SpaceShipOne」とその母艦「WhiteKnightOne」を開発した企業である。同社はこのSpaceShipOneにより、民間宇宙船のコンテスト「X Prize」で賞金1,000万ドルを獲得した。一方のVirgin Galacticは英Virginグループ傘下の宇宙旅行会社で、「SpaceShipTwo」による宇宙旅行のツアーを企画している。日本ではクラブツーリズムと提携してツアーの参加者を募集している。このツアーには、ライブドアホールディングスの元社長の平松庚三氏も参加を表明している。

今回発表になった「SpaceShipTwo」は、このSpaceShipOneをベースに開発したもので、8人まで搭乗可能。母艦である「WhiteKnightTwo」がSpaceShipTwoを上空まで運び、そこから宇宙に打ち上げる。一方、WhiteKnightTwoは米Pratt & Whitneyのジェットエンジン「PW308」を左右に2基ずつ(合計4基)搭載しており、SpaceShipTwo以外のものも打ち上げできる。

両機の機体にはカーボンコンポジット材(炭素複合素材:カーボンファイバと樹脂による軽量な複合材で、複雑な形状でも成形できる)を用いている。とくにWhiteKnightTwoはカーボンコンポジット材を使った機体としては世界最大級という。なお、両機の打ち上げ施設となる「Spaceport America」は、米ニューメキシコ州に建設する予定。

Virgin Galacticによると、同社が企画している宇宙旅行には約8万5000人から申し込みがあり、現在は約200名が搭乗を予定している。このうち80名は米フィラデルフィアにある宇宙飛行士の訓練センターで健康診断やトレーニングを済ませているという。

「SpaceShipTwo」(左)、「WhiteKnightTwo」(右)とも製造中