格安航空会社として急成長中の米JetBlue Airwaysが、来週早々にも機内での電子メール/ IM送受信を可能にする新サービスのテストを行う。同社が保有するA320に無線LANでのインターネット接続を可能にする機材を積み込み、12月11日のフライトを使って実際の乗客にサービスを提供する予定だ。このサービスでは米Yahooと加Research In Motion(RIM)の2社がパートナーとなっている。乗客は機内に持ち込んだPCやPDAを使って無線LAN経由でYahooメールやYahoo Messengerによる地上との通信、あるいはRIMの無線LAN対応BlackBerryでのメール送受信が行える。

これは米Wall Street Journalや英Reutersが関係者のコメントとして報道したもので、3社は「BetaBlue」と呼ばれるサービス機の来週の初フライトに向けて共同でサービスの準備を進めている。今後何ヶ月かのトライアル期間を経て、JetBlueの全フライトにシステムを投入する計画だという。サービス自体は無料となるが、利用にあたってはYahooアカウント取得のほか、無線LAN対応機器の持ち込みが必要となる。またBlackBerryユーザーは通常のBlackBerryメール/インスタントメッセージサービスが利用可能だが、BlackBerry 8820等の無線LANに対応した端末が必要だ。最初のBetaBlueのフライトはJetBlue 641便で、米ニューヨークのJFK空港から11日午前8時に離陸し、サンフランシスコへと向かう。以降のフライトは機材が適時必要な航路に割り当てられることになるため、利用者がBetaBlueを特定してチケットを予約することはできない。

JetBlueは1999年設立、翌2000年に運行開始と最も若い部類に入る航空会社だが、2002年には米LiveTVを買収して座席ごとに36チャンネル以上のTV番組配信を可能にするなど、早期から機内エンターテイメントシステムに力を入れてきた。今回のサービスはこのLiveTVのシステムを一部流用したもので、非同期のテキストメッセージングなど、比較的処理負荷やリアルタイム性が低いことを利用して通信を実現している。WSJに掲載されたJetBlueのコメントによれば、LiveTVは昨年2006年に米連邦通信委員会(FCC)より航空機と地上を結ぶ無線通信の周波数を獲得しており、これにより高度1万フィート(約3000メートル)以上の米国内領域であれば機内無線LANサービスが可能になったという。

同様の機内ネットワークサービスは米American Airlinesのほか、今年8月に就航したばかりの米Virgin Americaなどが異なったシステムを用いて導入を計画している。