米IBMは12月6日(現地時間)、同社が保有する特許を侵害したとして、台湾のコンピュータメーカーASUSTeKならびに米国法人のASUS Computer Internationalに対して、関連特許に抵触する製品および部品の米国への輸入差し止めを求める訴えを米国国際貿易委員会(International Trade Commission: ITC)に提出した。ASUSTeKは自社ブランドだけでなく、AppleやDellなどのPCベンダーへのOEMや部品供給も行っており、ITCの判断によっては影響範囲がさらに拡大する可能性がある。

今回IBMが問題としてるのは、同社が保有する「PC電源(U.S. Patent 5,008,829)」「自動ファン速度制御(U.S. Patent 5,249,741)」「単一ネットワーク上に複数のコンピュータが単一ホストとして出現するための方法または機器(U.S. Patent 5,371,852)」の3つの特許。IBMによれば、ASUSTeKに対してライセンス契約を結ぶように再三働きかけてきたものの、合意には至らなかったために、最終的に法的手段に訴えたとしている。IBM側は、ライセンス契約の締結、もしくは米国への製品またはコンポーネントの輸入停止のいずれかを選択するようASUSTeKに迫る構えだ。これら3つの特許はコンピュータを構成する上での基本要素であるとIBMは指摘しており、ASUSTeKの事業内容を考慮すると特許の回避は困難だとみられる。

ロイター通信の報道によれば、IBMとASUSTeKの間には2004年12月31日まで特許のライセンス契約が結ばれていたが、ASUSTeK側はその後のライセンスを更新することなしにIBMの特許を用いた製品を販売し続けていたのだという。この影響を受けるのはASUSTeKばかりではない。同社が製品や部品を提供している米国の大手PCメーカーがこの問題のカバー範囲に含まれる可能性がある。IBM側ではその名前を明示していないものの、ASUSTeKブランドの製品以外にOEMやコンポーネントもその訴訟対象としており、ここには当然ASUSTeKの顧客メーカーへの製品供給も含まれることになる。