FOMA携帯電話の新製品・905iシリーズの最初の2機種「D905i」「SH905i」が発売されたことにあわせて、ビックカメラ有楽町店はNTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏を招いて発売記念イベントを行った。

「D905i」「SH905i」の販売が開始されたビックカメラ有楽町店

ビックカメラ代表取締役社長の宮嶋宏幸氏は、イベント冒頭で「待ちに待った905iシリーズの発売。販売側としても、年末商戦を盛り上げる起爆剤として期待していた」と述べ、ワンセグ、国際ローミング、ハイスピード(HSDPA)、GPSなどあらゆる機能を盛り込んだ高機能モデルの登場を、年末商戦全体を活気づける一大トピックとして歓迎した。

この日、秋葉原のヨドバシカメラ店頭で同様の式典を終えて有楽町に駆けつけたドコモの中村社長は、905iシリーズから導入される新たな販売方式「バリューコース」に触れ、「端末代は(これまでよりも)いただくことになるが、割賦で買うことができ、基本使用料もこれまでよりお安くなっている」とアピール。また、新製品の発売時に社長が店頭に立つというのは同社初の試みだが、「今週7機種を発売するが、ビックカメラに来ていただければ必ずお気に入りの1台が見つかる」と話し、販売開始のカウントダウン時にはビックカメラの店名が入った法被を着てくす玉を割るなど、サービス満点だった。

ビックカメラ代表取締役社長 宮嶋宏幸氏

NTTドコモ代表取締役社長 中村維夫氏

ビックカメラの法被を着てくす玉を割った中村社長

新規・12カ月以上機種変更は5万円、2年利用で従来並みの価格に

この日発売された2機種の価格は、新規契約・機種変更を問わずバリューコース場合50,400円(「冬割」キャンペーン適用済の価格)で、これに加えて後述の「頭金」が必要となる。ビックカメラ有楽町店では、新規契約および現在の端末を12カ月以上して機種変更する場合、頭金は無料としていた。端末代は一括払いのほか、4,200円×12回または2,100円×24回の分割払いも可能で、分割の場合も支払い総額は変わらない。

今週発売される残りの機種についてもすでに予定価格が明らかとなっており、「N905i」「P905i」「F905i」「SO905i」はD905i・SH905iと同じ50,400円、ワンセグ受信機能のない「N905iμ」のみ47,040円となっている。

新規・12カ月以上機種変更の場合頭金は0円で、端末価格の50,400円を一括または12・24回の分割払いで支払う。いずれの支払い回数でも総額は変わらない。表示価格は冬商戦の割引キャンペーン「冬割」を適用した後の価格となっている

上写真のN905iμを除き、今週発売の各機種の価格は共通。なお、ビックカメラ有楽町店では12カ月未満機種変更を除き頭金は0円となっているが、販売店によって設定は異なる

従来、都内の家電量販店で90Xiシリーズの新機種が発売される場合、3万円前後で販売されることが多かったので、およそ2万円の端末価格上昇となる。ただし、バリューコースでは月々の基本使用料が各種割引適用前の額から1,680円安くなる新料金プランの「バリュープラン」が選択でき、「ファミ割MAX50」「ひとりでも割50」を適用後でも840円安くなる。同じ端末を24カ月使い続けた場合、基本使用料は累計で840円×24カ月=20,160円安くなるので、端末の値上がり分は2年で実質的に相殺される計算になる。バリュープランによる割引は24カ月を超えても続くので、さらに長期間同じ端末を使い続ければその分だけ得になる。

一方、バリューコースと対になる「ベーシックコース」を選んだ場合、同じ端末を2年間使用することを条件に、端末の販売価格はバリューコースより15,750円安くなる。端末価格が安くなる代わり、月々の基本使用料は従来通りで、2年以内に機種変更または解約をする場合は630円×残月数の「ベーシックコース解除料」を支払う必要がある。支払い総額ではバリューコースよりも高くなることがほとんどのため、高額の端末を分割払いで購入したくない、などの理由がない限りベーシックコースを選ぶメリットは見えにくい。ビックカメラ有楽町店ではバリュー・ベーシックの両価格を併記していたが、他の販売店ではベーシックコースの価格を掲示していない例もあった。

販売店・購入条件によっては「頭金」が必要

前述の「頭金」だが、ビックカメラ有楽町店の場合、現在の端末の利用期間が12カ月未満で機種変更する場合に必要となり、金額は7機種共通で15,330円。端末価格の50,400円に頭金を足すと、支払い総額は65,730円になる。

「905iシリーズで巻き返しを図りたい」と話す中村社長

従来の販売方法でも端末の利用期間に応じて価格は変わっていたが、分割払いを導入したバリューコースで、なぜ月々の分割払い金額が上がるのではなく、差額をまとめて支払う必要があるのか。これについてNTTドコモ広報は「分割払いの対象となるのは端末の購入代金のみ」とコメントしている。つまり、頭金は端末代金ではない、ということになる。

店頭で報道陣の取材に応じた中村社長は、12カ月以内の機種変更で価格が上がることについて、従来の販売方法における販売奨励金との関係に触れた。これまで、端末の値下げ原資となる販売奨励金は、加入者が月々支払う料金から捻出されていたわけだが、加入者が短期間で新機種に変更してしまうと奨励金の支出分が回収しきれない。バリューコースは奨励金を減らして端末価格を上げたためこのような問題は起きにくくなるが、現在はまだ過渡期であり、従来の"奨励金モデル"時代に端末を購入した加入者の場合、奨励金の未回収分、機種変更が高くなるという考え方だ。

将来、バリューコースの導入から期間が経過し、奨励金モデル時代の加入者は全員既に端末を十分長く使用しているという時期が訪れれば、利用期間による端末価格の違いはなくなる可能性もある。