米Ciscoは7日(現地時間)、同社会計年度で2008年第1四半期(2007年8-10月期)決算を発表した。同四半期の売上は96億ドルで前年同期比16.7%アップ、GAAPベースでの純利益は22億ドルで37.1%の上昇になる。EPSは35セントで、こちらは前年同期比で34.6%上昇している。事前のアナリストの予想通りに非常に好調な決算だったが、サブプライム問題に端を発する米国株式市場の混乱に巻き込まれ、決算発表を直前に控えた7日の同社株価は前日比約9%下落の32.75ドルで取引を終えている。

「全社を通したバランスのとれた運営により、Ciscoにとって記録すべき四半期となった。こうした好調な結果により、Ciscoがビジョンの実現に関して近いポジションにおり、主要マーケットの変革におけるプレイヤーとしての能力、戦略、運営の差別化を行っている」と米Cisco会長兼CEOのJohn Chambers氏はコメントしている。また業界を取り巻くビジョンとして同氏は「インターネットの第2フェイズへの移行とネットワーク化されたWeb 2.0技術の蔓延は、すべての業界における生産性とイノベーションをドラスティックに加速させる。もしこの変革がわれわれの予想通りに進むのなら、来たるべき未来にわたってCiscoや業界の成長を助ける原動力となるだろう」と述べ、ネットワーク技術がより重要なポジションを占めることになると主張する。

こうしたCiscoの成長の源泉になっているのは、強力な拡大戦略とそれを支えるスピード経営、そして業務の徹底した効率化にある。1990年代のインターネットブームを受けて業績を急拡大した同社は、インターネットのコアとなるルータとスイッチの分野で覇者となった。そして新たな成長の源泉を求めてルータ/スイッチ以外のネットワーク分野に水平展開を始めるに当たって、自社開発にこだわらずに積極的な買収を仕掛けて技術の取り込みや市場シェア獲得を図るなど、経営のスピード化を行った。「進出したすべての分野でシェア1位を」のChambers氏の言葉を号令に攻勢をかけ、現在もなお規模拡大を続けている。こうしたCiscoが現在力を入れているのが、会議システム「TelePresence」に代表される新興技術の育成、そして中国やインドなどの新興市場への積極的な進出だ。同社が10月末、インドに第2本社を設立したニュースは記憶に新しい。

直近のイベントで興味深いのは、WiMAXベンダーの米Navini Networks買収だ。同社はモバイルWiMAX実現で鍵となるアンテナ制御技術を持っており、これをベースに今後成長が見込まれるWiMAX市場へと本格進出することになる。また米Scientific-Atlanta買収から続くデジタルホームビジネスも注目だ。同社は2008年にプロトタイプとなる製品のリリースを計画しており、今後日本の家電メーカーとも深い関わりを持つことになるだろう。