米IBMは6日(現地時間)、大学生、および若手プロフェッショナル向けのビデオゲーム「Innov8(イノベイト)」の無償提供を開始した。

Innov8は、ビジネスと情報技術(IT)を一体化させたスキルの向上を支援することを目指し、組織内におけるITチームとビジネスリーダーとの間に見られる理解のギャップを埋めることを目的としたインタラクティブな3D教育ゲーム。デューク大学大学院とノースカロライナ大学大学院で毎年開催される同社主催のコンテストで評価を受けた、ビジネス、プロセス管理、企業戦略、オペレーション/IT管理といったコースで構成された1時間のプログラムだ。

ワシントンD.C.のウッドロー・ウィルソン国際研究センターにある、シリアスゲームイニシアティブ担当ディレクター、デビッド・レジェスキー氏は、「コンピュータゲームやビデオゲームの世界の人々にしか知られていない事実ですが、現在では数千に及ぶゲーマー、大学、そして企業の間で、教育、研修、医療、あるいはより良い政府といった重大な課題に対してゲームを応用しようという新しい動きが出てきています。IBMは、学生たちが理解し、楽しみ、歓迎するようなゲームメディアを活用して、大学が学生を教育できるようにすることで、『シリアスゲーム』の分野のパイオニアとしての地位を確立しました」と、この新しい流れの背景を解説している。

Innov8は、現実世界において個人やチームがどのように双方向的な活動を行う必要があるかという課題に取り組むMBAプログラムの考えをもう一歩推し進め、学生が実際に現実的で動的なビジネス環境に足を踏み入れることが出来るよう設計されている。また、テクノロジー、およびそれに関連するビジネス戦略が組織の業績に以下に影響を及ぼすかと視覚的にとらえられるよう配慮されている。

すでに全世界30以上の大学がInnov8をカリキュラムに採り入れているほか、全世界2,000以上の大学でIBMのWebサイトからのInnov8のダウンロードが可能となっている。また、Apply Groupは「2012年までに、Fortune Global 500社のうち、米国、英国、ドイツの企業が先陣を切る形で、100 - 135社が学習用ゲームソフトを採用する」と予測している。

IBM SOAおよびWebSphere戦略/チャネル/マーケティング担当バイスプレジデント、サンディ・カーター氏は、「ビジネスとITの連携がより密接なものとなっていく中、IBMは、シリアス・ゲームを、要求されるスキルを開発する、新しい、非常に期待できる手段と見ています。Innov8は、この具体的なスキル不足に取り組むと同時に、大学が、今日の学生を教育する強力なツールとして、シリアスゲームを利用するメリットを理解するのに役立ちます」とコメントしている。

「Innov8」を実行中の学生。日本の大学では、慶應義塾大学大学院、早稲田大学大学院、中央大学大学院などがすでにカリキュラムに「Innov8」を採り入れているという