米国に本拠を置くコンサルタント会社、ブーズ・アレン・ハミルトンは31日、2006年の世界の主要企業1,000社のR&D投資を分析した「第3回グローバル・イノベーション調査」を発表した。投資額トップはトヨタ自動車で前年比9.6%増の76億9,100万ドル(約8,844億6,500万円)となり、前年の3位から順位を上げた。トップ20には、トヨタのほかフォードが3位にランクされるなど自動車業界から6社が入り、同業界におけるR&D競争の激しさが浮き彫りになった。

「グローバル・イノベーション1000」について説明するブーズ・アレン・ハミルトン バイスプレジデント 坂野俊哉氏

ブーズ・アレン・ハミルトンは、米国を中心に世界でコンサルタントを行っており、1982年に東京事務所を開設。現在、日本法人では約100人の体制で活動を行っている。

「第3回グローバル・イノベーション調査」は、R&D支出額について公的なデータが存在する企業について、2007年6月30日までに報告された1年分のデータを基に、「グローバル・イノベーション1000」として上位1,000社を抽出。さらにこれらの企業の2001年から2006年までの主要な財務諸表を使用し、分析している。金額は2006年の為替レートで米ドルに換算している。

ブーズ・アレン・ハミルトンの分析によれば、「グローバル・イノベーション1000」として抽出された1,000社のR&D投資は、2006年に世界中で使われたR&D投資の51%を占める。また、政府部門などを除くと、1,000社のR&D投資は世界中の企業のR&D投資の84%を占めており、世界のR&D投資のかなりの部分が大企業によるものであることが分かる。

また、2006年の1,000社のR&D支出額合計は3.8%の成長率となり、2001年以降初めて対売上高比率に追いつき、成長率の低下傾向に歯止めがかかった。また、業界別にみると、最もR&D支出額が大きいのは「コンピュータ関連・電子機器」で、「ヘルスケア(製薬など)」「自動車」が続く。また、R&Dの対売上高比率が高い業界は、「ソフトウェア・インターネット」「ヘルスケア」「コンピュータ関連・電子機器」などとなっている。

世界の地域別にR&D投資をみた場合、金額では北米、欧州、日本の企業の支出額が大きいが、R&D投資の成長率では、中国やインドが25%前後となるなど、高い成長率を示している。

同社バイスプレジデントの坂野俊哉氏は、「R&D投資額の額が大きければイノベーションがすぐ進むわけではなく、投資をいかにうまくイノベーションにつなげていくかが重要となる。イノベーションには(1)ニーズ探求派、(2)市場観察派、(3)テクノロジー主義派、の3種類の類型があり、各類型のバリューチェーンの各段階において、一貫した思想に基づくR&Dプロセスを持っているかが重要」と話した。

その上で、「グローバル・イノベーション1000」トップ20について、「自動車が6社、ヘルスケアが7社、コンピュータ関連・電子機器が5社を占めるなど、これらの業界が巨額のR&D投資を必要としていることが分かる。こうした産業では、投資額の差が累積されていくと、将来の業績に大きく影響する。日本の総合電機メーカーのように各分野に総花的に投資していくビジネスモデルでは、世界規模で見ると競争力がなくなっているのが現状。業界再編などを経て、ある分野に集中的にR&D投資できる企業となれるかどうかが世界での勝負を分ける」と説明した。

「グローバル・イノベーション1000」トップ20は以下の通り。

「グローバル・イノベーション1000」トップ20