Alex Faaborg氏は29日(米国時間)、Prismのプロジェクトに寄せられた提案をまとめて自身のブログにて発表した。ブレインストーミングの段階であるためすべてのアイディアが実現されるわけではないが、FirefoxやPrismに取り込まれるかもしれないという点を考えるとどれも興味深い。Prismは、24日(米国時間)にMozilla Labsで公表されたものだ。

もっとも興味深いアイディアは、エクステンションやスタイルなどの拡張情報も含めて、Webアプリケーションをデスクトップアプリケーションに変換可能にし、さらにそれをユーザが選択できるようにしようというものだ。

同氏のブログでは、Google Readerを例に挙げ、そのアイディアの概要を説明している。ご存知のとおり、現在は、エクステンションやGreaseMonkeyのスクリプト、CSSによるスタイル指定などのプロファイルを変更することで、Google Readerというサービスをさまざまなかたちにカスタマイズすることができる。同アイデアでは、そのカスタマイズしたGoogle Readerを、そのままデスクトップアプリケーションに変換できるようにしようと考えている。さらに、例えば、プロファイル(エクステンション、GreaseMonkeyのスクリプト、CSSなど)をWeb上で公開するなどして、多くのユーザが同様のアプリケーションを得られる環境を整えたいという。ひとつのWebアプリからいくつもの形が表れる、まさにプリズム(Prism)というわけだ。

想定している変換手順は、Firefoxの"Tools"メニューから"Convert to Application"を選択するだけ。ただし、その変換操作を行う時点で、公開されているプロファイルにアクセスし、生成されるアプリケーションのスクリーンショットや機能リストを表示させ、好みのものを選択できるようにしたいという。もちろんPrismから直接生成する方法もあるだろう。

ほかにも完全にアプリケーションとして独立させるばかりではなく、スタートメニューにショートカットを登録する機能や、スタートアップへ登録する機能、WebアプリケーションをOSの特定の情報と関連付ける機能、ドラッグ&ドロップとの連携性向上、システムトレイとの連携、フレームレスウィンドウへの対応など、OSとの密接な連携を要する機能も要望として挙がっている。さらに、標準化グループをも巻き込んだ通知APIの確立、オフライン機能の向上やCanvas3Dへの対応も課題とされている。

OSとの連携性を向上させるということは、それだけセキュリティ上の危険性も増えることになる。このあたりは利便性との兼ね合いとなるが、Webアプリケーションとデスクトップの融合は非常に魅力的だ。Prismの今後の動向に注目したい。

Webアプリをデスクトップに射影するという発想 - 同じWebアプリでさえも複数の写像を実現するところからプリズム(Prism)というわけだ

Google Readerをアプリに落とし込む場合に表示する実行例 - スタイルを選択して自分ごのみのデスクトップアプリへ。掲載したのはGoogle Readerを使うアプリのひとつの例