マイクロソフトは29日、都内で報道関係者を対象にした「Windows Mobileプレスセミナー」を開催し、Windows Mobileに関する最近の動向と年末年始に向けた取り組みについて説明した。11月5日よりウィルコムが開始する「Advanced/W-ZERO3 [es]」の学割販売で共同のプロモーション活動を行うことや、同機種向けの音楽配信サービスなどについて紹介した。

学生向けにAdvanced/W-ZERO3 [es]を実質0円で提供

セミナー会場でウィルコムは、中学生以上の学生、教育機関に属する教職員、法人としての教育機関などに、一定の条件を満たすとAdvanced/W-ZERO3 [es]が実質無料となる「Advanced/W-ZERO3 [es] アカデミックパック」を発表した。販売開始日は11月5日。

WindowsやOfficeの学割パッケージに近いイメージのAdvanced/W-ZERO3 [es] アカデミックパック

就職活動中の学生向けのサイトなどがあらかじめ登録されている「Quick Menu for Academic」を搭載

アカデミックパックは、同社が実施している電話機の割賦販売システム「W-VALUE SELECT」を利用して、対象者が新規契約または機種変更を行うことが提供条件となっている。価格は月々1,150円の24回払い(合計27,600円)で、月々の利用料金から1,150円が24カ月にわたって割り引かれる。電話機代として支払う額と同じだけ毎月の電話代が安くなるため、2年間使用し続ければ実質的にAdvanced/W-ZERO3 [es]が無料で手に入ることになる。

ウィルコム サービス計画部長・寺尾洋幸氏

ウィルコムのサービス計画部長・寺尾洋幸氏はこの施策について、Advanced/W-ZERO3 [es]を学生や教職員に使ってもらうことによる、教育のIT化の推進と、スマートフォン市場の拡大が目的と説明する。これまでWindowsやOfficeで学割パッケージを販売してきたマイクロソフトのノウハウを取り入れ、大学生協などの販売ルートに向けて両社が共同でプロモーション展開する。

また、アカデミックパックのAdvanced/W-ZERO3 [es]では学生ユーザーの使い勝手を高めるため、専用のメニューソフト「Quick Menu for Academic」を同梱のmicroSDカードに収録しており、辞書などのソフトをワンクリックで起動できるほか、名刺リーダー機能や就職情報サイトへのブックマークがあらかじめ登録されている就職活動向けメニューも用意されている。

初のスマートフォン向け音楽配信が開始、ユーザー層も広がりを見せる

ウィルコムからは、すでに案内されていたAdvanced/W-ZERO3 [es]向け音楽配信サービスの提供開始日が11月22日に決定したことも発表された。サービス名称は「W+Music(ダブリューミュージック)」で、レーベルゲートの「mora win」およびUSENの「OnGen USEN MUSIC SERVER」がこれまでPC向けに配信していた楽曲を、Advanced/W-ZERO3 [es]だけで購入・ダウンロードして再生できるようになる。同社によれば、PCを介さず直接購入・ダウンロードできるスマートフォン向け音楽配信サービスは世界初という。

マイクロソフトの著作権管理技術「WMRM10(Windows Media Rights Manager 10)」を利用することで、PCレスで著作権保護された音楽ファイルを再生することができるようにした。楽曲の購入代金はウィルコムが回収を代行し、利用者には月々の電話料金とあわせて請求する。購入できる曲はPC向けサービスと同じで、mora winが約50万曲、OnGen USEN MUSIC SERVERが約100万曲を提供しており、価格はそれぞれ1曲150円より。なお、PC版サービスとは別のアカウントとなり、PCとAdvanced/W-ZERO3 [es]の間で楽曲の移動は行えない(同一のAdvanced/W-ZERO3 [es]でないと再生できない)。

「mora win」「OnGen」の2サービスを、PCがなくてもAdvanced/W-ZERO3 [es]だけで直接利用できるようになる

マイクロソフトからは、11月1日より実施する「Windows Mobileスマートチャンスキャンペーン」が紹介された。Advanced/W-ZERO3 [es]のほか、ソフトバンクモバイルの「X02HT」「X01T(近日発売)」、イー・モバイルの「EM・ONEα」と複数のWindows Mobile 6搭載機が登場したこのタイミングで広告を展開し、これまでより幅広い層へのスマートフォンの認知を図る。既に欧米ではグリーンをテーマカラーにしたWindows Mobileの宣伝が行われているといい、今回の日本におけるプロモーションもそれに沿ったものになるが、アジア圏ではWindows Mobileに焦点を絞った本格的なPR活動は初めてだという。

マイクロソフトの色というとブルーのイメージがあるが、Windows Mobileはグリーンを世界共通のテーマカラーとしてPRする。動きを感じさせるビジュアルで「モバイル」を表現した

スマートチャンスキャンペーンでは、2007年11月1日から2008年1月7日までの間にWindows Mobile 6搭載スマートフォン(前出の4機種および「HTC Advantage X7501」が対象)を購入すると、抽選で高級ホテルへの宿泊招待(10名)など計500名に賞品がプレゼントされる。

年末年始にWindows Mobile 6搭載スマートフォンを購入すると抽選で賞品が当たるプレゼントキャンペーンを開催。「Windows Moibleを持つと出先での仕事が増えるというイメージを持たれることがあるが、そうではなく仕事を効率よく片付けて余暇を充実させるために使ってほしい」との理由でレジャーに関連した賞品が並ぶ

マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部長・梅田成二氏

マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部長の梅田成二氏は、2006年に同社が行った調査では、Windows Mobile搭載スマートフォンユーザーのうち女性は3.2%、20代~30代は39.8%だったが、今年夏のWindows Mobile 6投入後に行った最新の調査では、それぞれ14.6%、62.6%となっており、従来はもともとデジタル機器に関心の高い男性が中心だったユーザー層が、いまは確実に広がりつつあると説明する。

ウィルコムの寺尾氏も、Advanced/W-ZERO3 [es]を発売して以降、電話帳機能の使い勝手など、電話機としての機能について問い合わせや要望が寄せられることが多くなったと話し、PDAとしてではなく電話機としての利用がようやく根付きつつあるとの見方を示していた。

セミナーでは、Winodws Mobile向けのアプリケーションとしてナビタイムジャパンのルート検索サービス「NAVITIME」、高電社の辞書ソフト「辞書ウォーカー」も紹介された