韓国では、以前に比べ、P2PやWebストレージ上における音楽や動画データの不法共有の取締りがだいぶ進んでいる。それでも不法コンテンツのやり取りは後を絶たないのが現状だ。そこで政府は、不法データの共有に関する規則を厳格化することで対応に乗り出した。

韓国政府の文化観光部は、不法にデータ共有した場合の過怠料付加対象者に対して付加の手順や基準を定めた「著作権法上の義務違反者に対する過怠料付加細則」を発表した。

ここでは著作権法に基づいた、過怠料の上限額と簡単な処分手順を12条に渡って規定している。また過怠料付加の対象者には意見陳述の機会を与えたり、不服がある際の意義提起方法なども提示されている。

基本的に著作権法で決められている履行義務を守らなかった場合、過怠料の付加対象となる。著作権法の履行義務には、次の3つがある。1つめは「特殊オンラインサービス提供者(P2PやWebストレージ業者を指す)は、不法著作物に対し技術的措置を講じる義務」だ。これはP2PやWebストレージ業者は、自社のデータにフィルタリング処理など、技術的措置をとらなければならないということを意味する。

そして2つめは「著作権利用秩序を大きく毀損した場合に発動される、文化観光部長官の削除・中断命令義務」、3つめは「著作権信託管理業者に課される、管理著作物閲覧義務および情報提供義務」だ。

もしこれらを遵守しなかった場合は、1つめの義務違反の場合で最高3,000万ウォン(約372万2,600円 / 1円=0.1240ウォン)、2つめと3つめの義務違反の場合では最高1,000万ウォン(約124万円)までの過怠料が課されることとなる。

とくに1つめのP2P、Webストレージに対しては、サービス提供業者や利用者も多いことから、細部にわたった過怠料規定がなされている。過怠料の基準は、不法データの未遮断率による。逆に言えば、不法データをどの程度フィルタリングしているかによって、過怠料も異なるということだ。6%以上から過怠料を支払うことになるので、逆にまったく支払わないためには、95%以上のフィルタリング率を維持しなければならない。

P2PおよびWebストレージ業者に対して課される、フィルタリング率による過怠料の付加基準

フィルタ率 罰金額(単位:万ウォン)
5%以下 行政指導
6%~15% 300
16%~30% 700
31%~45% 1,000
46%~60% 1,500
61%~75% 2,000
76% 2,500

音楽/映画/放送/文書/ゲーム/その他という6項目に分類し、それぞれ過怠料が付加される。もし違反行為が2種類以上あった場合は、それぞれの過怠料を足し、それを2で割った金額が付加される。

フィルタリング率95%以上というは、ハードルの高い基準である。P2PやWebハードサービスに、音楽や映画コンテンツだけを求めてくるユーザーも少なくないので、すべてにフィルタリングをかけてしまえば利用者が減り、経営に関わる問題となってしまう。

かといって再三の勧告にも関わらず、不法データを共有させておいた業者側に非があるのは否めない。文化観光部では「これ以上、不法著作物を容認できないという認識がインターネット上で拡大するだろう」と、この政策に期待をかけている。