アドビ システムズとNECビッグローブは24日、都内で共同会見を開き、電子文書統合管理ASPサービス「BIGLOBEドキュメントコントロールサービス」の提供を開始すると発表した。企業内、企業間における文書流通の一元管理を実現するサービスで、内部統制強化や情報漏洩対策のソリューションとして普及を目指したい考えだ。

同サービスは、PDFのアクセス権限を統合管理するサーバ製品「Adobe LiveCycle Rights Management ES」技術をベースにしたPDF文書管理ソリューション。PDFに対して閲覧期限の設定や印刷・コピーの禁止などのポリシーを付与し、その後のドキュメントの利用状況を監視できるようにする。同サービスを利用してPDF文書を発行する際は、管理者が事前にユーザーとポリシー(各種アクセス制限)を設定しておき、文書発行者は閲覧者とポリシーを指定してから専用サーバ経由でポリシー付きPDFを作成、これを電子メールなどで配布する。

ポリシーが付与されたPDFを配布先ユーザーが開くには、認証サーバへのログインが必要になり、万が一文書が不正に流出した場合でも指定ユーザー以外に閲覧される危険を回避できるという(閲覧には「Adobe Reader 7.0以降/Acrobat 7.0以降」が必要)。なお、ASPサービスのため、認証サーバにはイントラネット内にとどまらず、社外からもアクセス可能。これによって社外ユーザーに配布したPDFのセキュリティも確保でき、たとえば、オフショア開発などで委託先と重要書類をやりとりするケースなどでの活用も見込まれる。改版通知機能を搭載するので、常に外部と同バージョンの文書を共有できる点もメリットだ。また、システムの運用管理が不要な点、従来セキュリティと組み合わせられる点など、導入が容易なこともメリットとしている。

「BIGLOBEドキュメントコントロールサービス」の利用イメージ

想定される利用シーン

ポリシーの適用画面。Webブラウザ上で操作する

ポリシーが付与されたPDFを開くには認証サーバへのログインが必要。なお、ファイルをコピーしても権限ごとコピーされる

サービス販売開始は24日から、提供開始日は12月3日を予定している。利用料金は次のとおり。初期導入費用が40万円、月額使用料は最大ID数に応じて課金され、60万円(500ID)、80万円(1,000ID)、100万円(5,000ID)。今後はストレージサービスやWeb APIの提供、「Microsoft Word/Excel」への対応など機能強化を行っていく予定。

会見では、「アドビ システムズが持つドキュメントコントロール技術とNECビッグローブのプラットフォーム基盤をいかす」(NECビッグローブ代表取締役執行役員社長 飯塚久夫氏 )と、両社の特徴を活用したサービスであると強調。アドビ システムズ代表取締役社長ギャレット・イルグ氏が「(同サービスは)NECビッグローブとの協業ではファーストステップとなる」と語るとおり、両社協業のロードマップも示された。今後は、RIAプラットフォームであるAIR(Adobe Integrated Runtime)を活用したBtoCサービスやクロスデバイス型CtoCサービスへと展開していくという。

NECビッグローブ代表取締役執行役員社長 飯塚久夫氏

アドビ システムズ代表取締役社長ギャレット・イルグ氏