小売業界を中心に活動している米調査会社のNPD Groupは10月15日(現地時間)、AppleのiPhoneを早期に導入したユーザーの購買傾向と、それが携帯電話やスマートフォン市場に与える影響についてまとめたレポートを発表した。それによれば、PalmのTreoやT-MobileのSidekickのようなスマートフォンユーザーがiPhoneに手を出す一方で、主にBlackBerryのようなビジネス向けのスマートフォンを保有するユーザーにはリーチできていない対照的な結果になっているという。

今回の調査は、ある30日の期間に携帯電話を購入したユーザー1万3,000人を対象に行った。このうち、200人以上がiPhoneを購入していたという。調査によれば、この期間にiPhoneを購入したユーザーのうち、以前よりTreoを所有していたユーザーの割合は他の携帯電話を購入したユーザーの人数と比較して約10倍となっており、以前よりSidekick型のデバイスを所有していたユーザーの場合は約3倍だったという。両製品ともに小型のフルキーボードを内蔵している点が特徴で、いわゆるスマートフォンのカテゴリに分類される製品だ。だが一方でスマートフォンでは代表的なRIMのBlackBerryだが、こちらの製品を所持しているユーザーがiPhoneに乗り換えたケースは、前述の2製品ほど多くなかったようだ。

「iPhoneにおける企業メールサポートの欠如が、現行のBlackBerryユーザーの興味を削ぐ結果へと結びついているのではないか」と米NPDのRoss Rubin氏は分析する。「iPhoneのインターネット接続やメディア機能がTreoやSidekickなどを所有するユーザーの気を引く結果となっている。iPhoneの先進機能がスマートフォンにおける多くの作業に匹敵する一方で、スマートなデザインや拡張性の欠如が、あくまで"ファッションフォン"と認識される原因となっている」と、ビジネス用途としてのスマートフォンにはなっていないというのがiPhoneに対する同氏の認識だ。

またiPhoneといえば、Appleと提携した通信キャリアの米AT&Tが独占契約を行っていることが知られている。iPhoneを携帯電話として利用したいユーザーは、必ずAT&Tと契約せねばならず、これを機会にどの程度のユーザーが携帯キャリアの乗り換えを行うかが注目されていた。乗り換えが多かったキャリアは全米第4位以下の米AlltelとT-Mobile USAで、同2位のVerizonや同3位のSprintからの乗り換えユーザーの数の3倍の水準に達していたという。その理由としてNPDでは、携帯経由での音楽配信サービス、リッチなビデオコンテンツやデータサービス、3Gネットワークの整備など既存サービスに満足しているユーザーがVerizonやSprintに多かったことを挙げている。