デルは10日、仮想化ソリューションへの取り組み強化に関する戦略発表を行なった。具体的な施策として発表されたのは、9月26日に発表されたクアッドコアAMD Opteron搭載サーバ「PowerEdge 2970」「同6950」へのVMware Infrastructure 3のプリインストール提供や、仮想化に関連するコンサルティング・サービスの強化など。

デル エンタープライズ・マーケティング本部 本部長 桜田仁隆氏

まず概要説明を行なった同社のエンタープライズ・マーケティング本部 本部長の桜田仁隆氏は、仮想化の意味を「システムを物理的なハードウェアから分離する」こととした上で、サーバの仮想化による具体的なユーザー・メリットとして、「現在平均で20%以下となっているサーバの利用率を60%以上に高める」「サーバ運用管理コストの削減を実現」などを挙げた。一方で、サーバ・プラットフォーム側で解決すべき課題として、プロセッサの使用率が高まることに付随して、「より高性能なプロセッサが必要になる」「より大容量のメモリを搭載する必要がある」「低消費電力化をさらに進める必要がある」といったポイントを指摘した。同社の新しい"Barcelona(コード名)"搭載サーバは仮想化のためのプラットフォームとなるべく設計されているといい、「2GHzのクアッドコアAMD Opteron(Barcelona)に対応」「最大メモリ搭載量は64GB(8GB DIMM対応)」「100V電源に対応」などといった特徴を紹介した。

サーバ仮想化に対するユーザーの要求

仮想化市場に向けたデルの製品戦略

今回の仮想化への取り組み強化の一環として、VMware Infrastructure 3のOEM提供が開始される。これは、同社のインフラストラクチャ・コンサルティング・サービスのメニューとして提供されるもので、VMware Infrastructure 3をサーバに事前インストールして基本設定を行ない、動作確認を完了した状態で納品される。納期は、通常納期に1~2日が加わる。費用はサーバ1台辺り9万6,600円(消費税、配送料込み、ライセンス費用は別)。

年内発表予定の次期仮想化プラットフォーム・サーバの概要

なお、PowerEdge 2970/6950の販売開始は9月の発表時点では10月10日を予定していたが、AMDプロセッサの出荷遅延を理由として、同日付で出荷延期となっている。

加えて、年内に正式発表を予定している新製品の概要も紹介された。PowerEdge 2970の仮想化対応機能をさらに強化する形の2Uラックマウント・サーバで、クアッドコア AMD Opteronを搭載する点は現行機種と同様だが、メモリ容量とI/Oスロット数をそれぞれ2倍に強化するほか、ディスクレス環境のサポートや高効率電源ユニットの搭載などが予定される。最大の特徴となるのは、現在はRed Hat Enterprise Linux 3ベースで実装されているService Consoleが大きなフットプリントを占めているESX Server 3からService Consoleを除いて仮想化エンジンのみとする形となるVMware ESX Server 3iをハイパーバイザとしてあらかじめハードウェアに組み込んで出荷することが想定されている点だ。ESX Server 3iの仮想化エンジン(VM Kernel)は32MBほどで、USBメモリからの起動も可能だという。一方、現在のService Consoleは2GBほどのディスク領域を占有しており、これを排除してリモート管理専用とすることでサーバのリソースをより効率よく利用できるようになる。

ESX Server 3iの概要と、従来のESX Server 3とのフットプリントの違い

デル ソリューション・サービス本部 本部長 諸原裕二氏

このほか、サービス事業の強化では、従来のプロフェッショナル・サービスをインフラストラクチャ・コンサルティング・サービスと改めた上、仮想化ソリューションとして「設計」(キャパシティ・プラン、VMware環境設計)、「導入」(プレインストール、WMware導入、ゲストOS導入、バックアップ環境構築、P2V移行)、「トレーニング」(VMware実装と運用、DELL|EMC構成と管理)などのメニューを提供する。サービスに関する説明を行なった同社のソリューション・サービス本部 本部長の諸原裕二氏は、「仮想化を導入するユーザーでも、現状のサーバの利用率等を把握している例はほとんどない」とし、特にキャパシティ・プランが重要になるという。この認識を踏まえ、今回のサービスの強化では、「VCP資格取得者の増員」(年内に現状の3倍規模に)、「キャパシティ・プラン・サービスの強化」、「アセスメントからトレーニングまでの一貫したサービスの提供」などを挙げている。

インフラストラクチャ・コンサルティング・サービスの概要

サービス事業の強化ポイント

会場前に展示してあったPowerEdge 2970の実機