JR東日本は1日、埼玉県さいたま市で10月14日に開館する「鉄道博物館」を報道公開した。同博物館には、2006年5月に閉館した「交通博物館」(東京・神田)の鉄道に関する資料や遺産などが収蔵されており、さらには参加型施設が多数揃えられているのも特徴だ。

「日本の130余年に及ぶ鉄道の歴史を、長さ約75メートルの年表にして展示してあります。これだけの歴史があると、一言に鉄道といっても、各世代によってなじみのある鉄道は違います。我々の世代ならSL、下の世代なら特急、新幹線といったようにですね。その点、ここでは様々な車両を扱っているので、幅広い方々にそれぞれに視点でお楽しみいただけると思います」(鉄道博物館館長・関根徹氏)。

ロゴマークは人や物、文化を運ぶ「車輪」をシンボル化したという。入り口付近ではD51型蒸気機関車がお出迎え

1階に展示されている彫刻「ぽっぽや」

「鉄道博物館」館長の関根徹氏

1階には実物や模型の車両などが所狭しと展示されているが、大正時代の列車の椅子に座ることができたり、新幹線の運転席を間近で見られるなど、随所に"体験型"な工夫がなされている。車両以外にも、駅舎やその時代の風俗を再現した人形が展示してあり、当時の雰囲気を伝えてくれる。

写真上の手前が222形式新幹線。左奥が0系新幹線21形式25の前頭部分。写真右は実物のCL57型蒸気機関車。ターンテーブル上で回転する様は圧巻!

2階には、約200平方メートルの地形模型にHOゲージ(在来線1/80スケール、新幹線1/87スケール)の鉄道模型を敷設した日本最大級という「模型鉄道ジオラマ」がある。駅舎や発電所、橋梁、トンネルなどといった鉄道関連施設に加え、約600両もの多彩な車両を一望できる。

「模型鉄道ジオラマ」

「ミニ運転列車」は、3人乗りで1周約230mの軌道を運転できる施設。鉄道運行システムの安全性や正確性などを体験的に学べ、ATC(自動列車制御装置)やATS-P(自動列車停止装置)を体験することもできる。利用料金は200円。ラーニングホールでは鉄道システムを学ぶプログラムも用意。列車のドア開閉も体験でき、車掌気分が味わえるとのことだ。

「D51シュミレータ」は、交通博物館に展示されていたD51キャブ部分を使用して製作された、日本初というSL運転シミュレータ。加減弁や逆転機、ブレーキなど操作機器に応じた動輪の発生トルクから車体運動モデルを作成し、力行・惰行・制動の状態を再現した。パノラマ大画面と共に、動揺装置による蒸気機関車特有の振動も味わえるため、本格的な運転を体験できる。現在、特許出願中で利用料は500円。運転シュミレータは他に、新幹線(200系)や山手線(205系)、京浜東北線(209系)、東海道線(211系)があり、いずれも予約不要だ。

SL運転シュミレータに2人で参加の場合は、ひとりは副運転手として石炭係を務める

新幹線シュミレータの指示は細かい

運転シュミレータ・新幹線の運転席

運転シュミレータ・京浜東北線の運転席

運転シュミレータの山手線版では実際の風景が使用されている

同博物館の最寄駅は埼玉新都市交通ニューシャトル「鉄道博物館前駅」。現在は「大成駅」だが、開館日に駅名を変更するとのことだ。開館直後は混雑が予想されているが、臨時列車の増発やダイヤ改正で対応するという。「JR大宮駅からの距離は1.8kmほどなので、そこからも徒歩圏内です。現在、通り道付近のJR施設の壁を塗り替えたり、列車を展示するといったプランも出ており、大宮駅から来ていただく道中も、別の楽しみが持てるように準備しているところです」(関根氏)。