日常にすっかり定着した、インターネットでの動画鑑賞。テレビの再放送や、塾の講義映像、ユーザーが直接撮影した投稿映像など、その種類はさまざまだが、韓国のネティズンは気分や必要に応じて利用し分けているようだ。

大型連休に動画鑑賞で過ごす

韓国では9月24日から26日までの3日間が旧暦のお盆で、その直前の土日(22日、23日)を合わせると5日間の大型連休となった。この間とくに旅行の予定もなく自宅で過ごしたという人も少なくない中、大量アクセスを記録した動画サイトがある。

動画提供サイトである「Pandora.TV」では、22日から26日までのユニークユーザーが2,000万を超えたという。これは2006年の旧暦お盆時と比べ200%以上増加した数値となる。また同時期のページビューは、2006年同期比で300%以上増加した3億以上となった。とくに連休前半の22日から23日にかけては1日のユニークユーザーが500万人と、連休中ではもっとも多かったという。

墓参りなどを済ませれば、あとは自宅で休む人が多いこの時期。そんな中インターネットの動画鑑賞を楽しむという過ごし方が、1年間で大きく増えたことが伺える結果だ。

こうしてインターネット動画鑑賞が日常化している現状にあやかり、官公庁でも動画サービスを提供するところが増えている。

代表的な例を1つとると、大統領官邸「青瓦台」のWebサイトでは「希望チャンネル」として、大統領演説や政府機関による報告会の映像を見られるようになっている。また最近は固いイメージのある官公庁に対しても関心を持ってもらえるような、もしくは日常生活に有用な動画サービスを用意する官公庁サイトも目立つ。

官公庁での動画サービス

気象庁では29日から「インターネット気象放送システム」の試験運用に入ると発表した。これは気象庁が直接気象情報を、動画で伝えるインターネット放送だ。

ここにはあられる気象関連の動画が用意されている。主なメニューは「気象チャンネル」「気象テーマ」「気象広報」など。気象チャンネルでは、雲の動きがリアルタイムに分かる気象図や、海上の様子を伝える定点カメラ映像など、速報性のある内容を伝えている。気象テーマでは強風、黄砂、温暖化などテーマに沿った気象の知識を伝えるほか、気象広報では気象庁の国際協力状況やスーパーコンピューターの導入事例など、気象庁の仕事内容を知らしめる映像を送る。

本格サービスは2008年7月からの予定。雲の動きなどを伝えるリアルタイム放送は現在のところ7~22時までと時間限定となっているが、本サービスが開始される際には24時間放送になるという。

大手検索ポータルでも「天気予報」は、人気検索語ランキングの常連キーワードとなっている。インターネットで提供される天気予報へのネティズンのニーズに応えられるよう、本サービスに向けたWebサイト構築が進められている。

一方、ソウル市の江南区庁では、学生に向けた「江南区庁インターネット修能放送」を運営している。江南といえば有名講師をそろえる塾が集中し、学力もひときわ高い地域で、教育熱心な家族がわざわざ引っ越してくるほどの教育のメッカ。そんな江南区庁が、誰でも・どこでも・いつでも江南水準の教育を受けられるようにと提供しているのが、江南区庁インターネット修能放送なのだ。

ここでは基本的に、教科別の専門の先生の講義映像が配信されている。大学受験のための外国語や数学、科学の講義、高得点をとれる論述作成方法、有名大学生たちが伝授する学習法など、その数「約7万件」(江南区庁)にのぼるという。映像に付属した教材はAdobe Acrobat文書で無料配布されるほか、対応のポータブル・マルチメディア・プレーヤーに動画を転送し外出先で映像を見ることもできる。経済的に勉強をしたい学生にとっては大変有用で、現在「会員数は40万人を超えている」(江南区庁)。

さらにソウル近郊に位置する水原市では10月12日から、インターネット放送の「HSB ハッピー水原」を開始する。ここでは水原市のニュースを伝えるだけでなく、水原市が抱える問題について討論するトーク番組、市民記者による地元密着レポート、動画投稿コーナーなど、バラエティ豊かな番組構成になる予定だ。

韓国の官公庁では、それぞれの機関が持つ有用な情報を、より多くの人に伝える手段として動画を活用しているようだ。一見固いイメージのある官公庁だが、動画で伝えるとなんとなく受け入れやすいイメージがある。WiBroなど移動中でも高速インターネットができる規格が普及している韓国だけに、こうしたサービスは今後も増えていくものと思われる。