Mark Finkle氏は25日(米国時間)、WebRunnerの最新版となる「WebRunner 0.7」を発表した。WebRunnerはXULRunnerをベースにして開発された、Webアプリケーションの用途に特化したWebブラウザ。特定のサイトに特化したWebブラウザであるため、Site Specific Browser (SSB)と呼ばれる。

日々活用するアプリケーションがデスクトップアプリケーションからWebブラウザを経由して使うWebアプリケーションへと変ってきている。SSBはこうした現状に対してデスクトップとWebアプリケーションとの統合を進めるひとつの取り組みだ。普段ユーザが使っているWebブラウザには、ブラウジング機能に特化しているとはいえ、汎用的に作業ができるように多くの機能が用意されている。Webアプリケーションを使っている最中にはそういった機能は不要だ。

また、Webブラウザで多くのWebアプリケーションを使っていると、あるWebアプリケーションやサイト閲覧で発生した問題でWebブラウザが終了してしまい、ほかのWebアプリケーションも一気に使えなくなってしまうことがある。こうした問題を解決し、Webアプリケーションをよりシームレスにデスクトップに統合していこうという取り組みのひとつがWebRunnerというわけだ。

簡単に言ってしまうと、Firefoxのコンポーネントをベースとして開発されたカスタマイズ可能なWebブラウザ、それがWenRunnerだ。サイトに合わせてプロファイルを作成し、起動時にそのプロファイルを指定すればいい。そうすることで、あたかもそのWebサービス専用のWebブラウザが起動しているようにWebRunnerは振る舞ってくれる。Webアプリケーションをそのままデスクトップアプリケーションのように見せることができるわけだ。サービスやプロセスは分離しているからほかのWebアプリケーションに影響することもない。

WebRunner 0.7では設定機能が改善されたほか、小さな変更とともにいくつかの大きな変更が実施されている。依然として1.0よりも前の開発版リリースだが、Webアプリケーション時代を迎えつつある昨今、同プロダクトの取り組みは興味深いものがある。Webアプリケーションとデスクトップアプリケーションの統合を目指すプロジェクトはほかにもいくつもあるため一概には言えないが、すでにFirefoxというWebブラウザで培われた技術がそのまま活用されている点で興味深い。今後の開発に注目だ。

WebRunner実行の様子 - プロファイルやURIを何も指定しなければ説明画面だけが表示される。一般のWebブラウザとはまったく違う発想のブラウザだ