シャープは29日、同社の温室効果ガス削減に関する取り組みを説明するとともに、新たに開発したリサイクル技術を紹介する記者発表会を開催した。太陽電池でのエネルギー創出と省エネ商品による温室効果ガスの削減量が、国内外の事業活動による温室効果ガスの排出量を上回る「地球温暖化負荷ゼロ企業」を目指すとともに、新リサイクル技術などを活用した廃プラスチックのリサイクル量を2008年度に1,000トンにする目標などについて説明した。

シャープ 環境安全本部副本部長兼環境社会貢献部長の谷口実氏

同社の2006年度の温室効果ガスの排出量は173万トンだったのに対し、太陽電池と商品省エネによる温室効果ガス削減量は92万トンで、排出量が削減量を上回っている。同社は、2010年度までに削減量が排出量を上回るようにするため、さまざまなリサイクル関連事業に取り組んでいる。

記者発表を行った同社環境安全本部副本部長兼環境社会貢献部長の谷口実氏によれば、同社製エアコンの電力消費量は、4.0kWクラスで1993年から2007年までに23%を削減、冷蔵庫は400リットルクラスで同期間に54%を削減したという。テレビに関しても、2000年に271kWhだった32型ブラウン管テレビの電力消費量を、2007年の32V型液晶テレビでは135kWhまで削減することに成功。より大型の52V型液晶テレビに関しても、2007年の273kWhから、将来的には半分の140kWhにまで削減することを目指す。

また、温室効果ガスの「1人1日1kg削減運動」を普及するなど、環境教育にも力を入れ、今年度は全国の小学校500校で出前授業を行うなどの取り組みを予定している。

こうした温室効果ガス削減の取り組みに加え、同社は家電製品の廃プラスチックのリサイクルにも力を入れており、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の4品目の使用済み家電から回収したプラスチックを、他の製品ではなく再び家電に再利用する「自己循環型マテリアルリサイクル(Closed Material Recycle)」を行っている。

今回新しく開発したリサイクル技術は、不要な金属を除去するラインを設けると同時に、微粉を風力で除去し、水比重分離で高純度のPP(ポリプロピレン)を回収することを可能にする「高純度PP分離回収技術」を採用している。また、宇部興産の持つプラスチック着色技術も加え、再生プラスチックを再度、家電部品として利用できる品質・外観にすることを可能としている。

従来は異物が多くリサイクルが難しかったこうした製品も、新技術を活用すれば円滑にリサイクルができるようになるという

これらの技術を活用することにより、従来は同一の材質で異物の付着が少ない廃プラスチックが主なリサイクル対象だったのに対し、金属や異物が付着した製品からも高純度のプラスチックを回収することができるようになる。

新技術を活用したリサイクル事業は、同社などが出資している大阪府の関西リサイクルシステムズの工場で行う。回収対象製品はシャープだけに限らず、他メーカーの製品も受け入れるとしている。

同社では、新技術の活用により、2006年度に620トンだったプラスチック回収量を、2008年度には1,000トンとすることを目標としている。