情報通信総合研究所は24日、「携帯電話サービス普及による日本経済への波及効果」と題した調査研究の結果を公表した。

同調査によると、モバイルコンテンツとモバイルコマースの経済波及効果は、2010年に2.4兆円となる見込み。これは2006年の4倍の額に相当するという。

特にモバイルコマース市場においては、物販系コマースの書籍や化粧品を中心に急増が見込まれるとし、経済波及効果は、2006年の2,378億円が、2010年には6.3倍の1兆4,870億円の規模まで拡大すると予測している。

一方、モバイルコンテンツの経済波及効果は、2006年の3,801億円から2010年の9,225億円へと2.4倍に成長すると見込んでいる。とりわけ、モバイルゲームの利用増加の動きが加速し、経済波及効果は2010年で3,581億円に達するとしている。

そのほか、モバイル広告の経済波及効果は2006年の390億円から2010年の791億円へと2倍に成長すると予測され、携帯電話加入者数の増加は頭打ちとなっているにものの、今後はモバイルコンテンツやモバイルコマースの成長により、モバイル関連産業全体の経済波及効果が拡大していくものと同研究所では分析している。

また、モバイルコマースの雇用創出効果は、労働集約的産業の食品・飲料と衣類・アクセサリー部門を中心に、2006年の3.6万人から2010年の22.2万人へと6.1倍に拡大する見込み。モバイルコンテンツについては、経済波及効果と同様にモバイルゲームを中心に雇用創出効果が増加し、2006年の4.5万人から2010年の11.0万人へと2.4倍の成長が予想されている。

同研究所では、モバイルコンテンツの経済波及効果や雇用創出効果の拡大が期待できる背景として、通信キャリアが課金決済プラットフォームや携帯電話端末の機能を決定する"垂直統合モデル"が存在することによる、モバイルコンテンツ市場の活性化を指摘。同研究所が2004年の経済モデルで推定した音楽配信サービスの経済波及効果では、垂直統合モデルが存在したモバイルで1,350億円、存在しなかった固定系で49億円となり、約1,300億円の格差となった。さらに、通信キャリア主導による技術進歩がもたらした携帯電話機産業から液晶素子産業への経済波及効果は、2000年時点で130億円におよぶと推定している。