日本BEAシステムズは、リアルタイム処理に対応した「BEA WebLogic Real Time 2.0」と、イベント駆動型アーキテクチャ(EDA:Event DrivenArchitecture)対応の「BEA WebLogic Event Server 2.0」の2種のアプリケーション・サーバー製品を発表した。両者は、同社のBEA WebLogic製品ファミリーとして8月から出荷開始される。Javaによる開発をしやすくしていることが今回の新製品の特徴だ。

「BEA WebLogic Real Time 2.0」は、特別なコーディングは不要となっており、Javaアプリケーションの停止時間が、平均で1ミリ秒以内(最長でも10ミリ秒)に留まるという。。同社によれば「金融業界などでは、アプリケーションの停止時間が1秒を切ることが保証されることは、1日当たり何百万ドルもの利益が増加するほどの差異につながる場合がある」としている。

「BEA WebLogic Event Server 2.0」は、大容量のストリーミングデータ、予測可能なリアルタイムのレスポンス要求、複合イベント処理(CEP: Complex Event Processing)に対応できるように最適化されたアプリケーションサーバであり、同社は「この製品は、Java環境においてイベント駆動型SOAを可能にする業界初の製品」と強調する。

いまや、ほとんどの業界で、事業活動をめぐるさまざまイベント(事象)、それらにかかわるデータは非常に膨大になり、しかも急増を続けている。たとえば、天候により事業に影響を受ける業界などでは、このようなデータの多くは予測が困難であったり、複雑になるが、企業側は、それらをリアルタイムに処理し、新たな収益源創出、顧客満足度向上、競合差別化などにつなげようという志向が高くなってきている。

米BEAシステムズのガイ・チャーチワード エンジニアリング部門バイスプレジデントは「膨大なデータから、有意の情報を取り出すには、CEP(Complex Event Processing: 複合イベント処理)が必要になる」と話す。CEPは、分散型システムから大量に送られてくるデータストリームやイベントを照合し、パターンやトレンドなど、複数のルールを適用することで、通常、見過ごされることが多くなるような、類型や傾向を識別する手法で、これによりビジネスチャンス、あるいは脅威を発見して迅速に対応できる。

「WebLogic Event Server」は、CEPにより、分散した各種システムからのデータや業務プロセス内のイベントストリームを監視し、一見無関係だと感じられるようなイベントに起因する機会や脅威に対応する処理をJavaベースで構築することができるという。「WebLogic Event Server」に備えられている「Complex Event Server」は「1秒で5万件の複合イベントを処理でき」(チャーチワード氏)、「Rules Engine」は「1万のルールに適応している」(同)

これまでは、大容量複合イベント要件に対処するアプリケーションは、CやC++などの言語で構築されてきた。これは、C/C++の方が、予測可能性、リアルタイム性の点で優位あるとされてきたからだが、「WebLogic Event Server」は、Javaでも、これらの点で劣らない開発ができる基盤を提供するという。

同社は、今回の「BEA WebLogic Real Time2.0」と「BEA WebLogic Event Server2.0」により、WebLogic製品ファミリーの機能をいっそう強化することを図るともに、適用領域拡大を目指す。これらの製品は「もともと金融向けの用途が多かったが、今回の新製品で、テレコミュニケーション、ネットワーク管理などに加え、オンラインゲーム、クレジットカードのセキュリティ、詐欺行為の検知、輸送業務、コンプライアンスなど、幅広い業種、業務に適用できる」(同)ようになった。

チャーチワード氏は「膨大な情報を、すばやく、有効な知識へと変換することは、迅速な意思決定につながる。それらの譲歩を活用することにより、顧客満足度の向上にもなる」と指摘、イベント処理の発想の重要性を強調した。