市場調査会社の米eMarketerによると、英国のオンライン広告市場は2006年、前年比47%増で伸び20億2,000万ポンド(約4,996億円)となった。市場は順調に成長しており、同社では、今年は同国の広告市場全体の18%を占める規模に成長すると予想している。これは、米国の倍以上の比率という。

eMarketerが3日に発表した英国オンライン広告市場に関する報告書による。

2006年、英国のオンライン広告は成長率47%で成長し、20億2,000万ポンドに達した。同社では、2007年の市場規模について、前年比31%増の26億4000万ポンド(約6529億円)と予想している。市場は今後も順調に伸び、2011年には44億5,000万ポンド(約1兆1,006億円)に達すると予想している。

成長率は、2010年までは高い数値が予想されるが、2011年には8.5%と1ケタに落ちると見ている。それでも米国と比べると長期的な伸びは高い。同社では、米国は英国より先の2010年に1ケタ成長に入ると予想している。なお、米国のオンライン広告市場規模は2006年、前年比49.4%増の37億2,000万ドルだった。2007年は前年比42.3%増の52億8,000万ドル、2011年は同6.5%増の82億4,000万ドルと予想している。同社の予想では、英国の成長率が米国を上回るのは2008年となっている。

英国の成長は欧州の中でも目立っており、eMarketerでは、英国は2010年、西欧州全体のオンライン広告市場の52.6%を占めると予想している。英国はまた、オンライン広告が広告全体に占める比率でもリードしており、2007年のオンライン広告のシェアは18%と見ている。これは、米国をはじめとした他の先進国の倍以上のシェア値という。仏ZenithOptimediaでは、英国の広告市場に占めるオンライン広告の比率は2009年には22.6%になると予想している。

なお、英国の広告業界団体Advertising Associationが発表した2007年第1四半期の英国広告市場の報告書によると、同期市場の成長率は3%だった。新聞、雑誌、TVなどの既存メディアの広告支出は減少しており、インターネットは前年同期比42%増で増加している。

eMarketerではこのような高い成長について、安定した経済成長、ブロードバンドの高い浸透率、携帯電話などモバイル端末を利用したインターネットアクセス、高度な広告関連技術の利用などを要因に挙げている。「米Googleによる米Doubleclickの買収計画、米Microsoftによる英Quantiveの買収計画などにより、オンライン広告は大きいな変化を迎えており、英国はその先頭に立つ」と同社は述べている。

市場を牽引するのは、検索広告、ソーシャルネットワーク、モバイル向け、リッチメディア、パーソナライズという。フォーマットについては、ブラウザ、検索、広告が統合された時代が到来するのはまだ先で、当面は、高度なメッセージやインタラクション性の強いものが登場しながらも、ディスプレイ型が主流を占めるだろうという予想だ。