シマンテックは、同社が第三者の調査機関を通じて実施した「企業におけるスパムメールの現状に関する調査」の結果を公表した。同調査は今年3月19~26日の期間に企業内のネットワーク管理業務従事者を対象にした「ネットワーク管理者編」調査と、今年5月10~22日の期間に企業内の電子メールユーザー(企業内個人)を対象に行なった「エンドユーザー編」調査の結果を総合したもの。有効回答数は、ネットワーク管理者編が566人(社)、エンドユーザー編が468人。

調査結果の概要をいくつか紹介しよう。

ネットワーク管理者編調査から、回答企業全体では平均して1日10万4,000通の電子メールを受信している。昨年の調査(2006年4月実施)との比較では、約35%のトラフィック増加となる。このうち、スパムメールが占める割合は約28%で、前回調査比8ポイント増。平均すると、1社あたり毎日2万9,000通のスパムメールを受信している計算になる。

エンドユーザー編調査から、企業内個人は平均して1人1日108通の電子メールを受信しており、そのうちのスパムメールの比率は前回調査比7ポイント増の約28%。この比率は、ネットワーク管理者編調査の結果と一致する。

企業のスパムの受信比率は着実に上昇している

スパム対策では、企業でのスパム対策導入率は約57%に上るが、必ずしも企業全体での対策とは限らず、個々のユーザーのフィルタリングなどもまだ多い。その結果、導入済みのスパム対策に満足していると回答した率は51%に留まっている。

どのようなメールをスパムと分類するか、という定義が明示されているわけではなく、回答者の主観による回答なので、厳密な統計データというよりは全体の大まかな傾向を掴んだものと見るべきだが、メールの流量が増加しており、それに比例してスパムの総量も増加しているのは間違いないだろう。ただし、別の調査結果では、全世界のメール総流量に占めるスパムメールの比率は約70%という結果も示され、日本国内ではまだスパムの流量はさほど多くはないという印象も受けた。

スパムの増加による従業員の生産性低下が管理課題に

次に、企業におけるスパム対策についての調査結果をより細かく見てみよう。

企業におけるスパム対策の導入率は約57%で、前回調査比10.9ポイント増となっている。メールセキュリティ対策全体での導入状況では、最大がウィルス対策で88.2%、次いでスパム対策。以下、コンテンツフィルタリング(33%)、データの暗号化(23.1%)、フィッシング対策(17.3%)と続く。ただし、前回調査比での1年間の伸びで見ると、他の対策が微増、暗号化のみ微減という結果に対し、スパム対策は2桁の成長を示しており、急成長していることがわかる。

企業におけるメールセキュリティ対策の導入状況

また、スパム対策の具体的な内容についての調査(複数回答)では、導入率最大となったのが「ユーザーによる手動削除」の43.3%だった。個人的な感想としては、ユーザーによる手動削除というのは「スパム対策」に含まれないのではないかという気がするのだが、調査対象となった企業ではこれも対策の一種と見なしているのかもしれない。それ以外の具体的な対策では、「スパム対策ソフト(サーバ用)」が35.3%、「メーラのスパムフィルタ機能」が30.9%で双璧を構成し、以下、「スパム対策ソフト(PC用)」20.8%、「スパム対策アプライアンス」16.8%、「管理者による手動フィルタリング」16.4%、「xSPのスパム対策サービス」12%と続く。

前回調査結果との比較で伸びを見てみると、「スパム対策ソフト(PC用)」が27.1%から20.8%に6.3ポイント減となっているほかはおおむね微増という結果だが、唯一「スパム対策アプライアンス」は前回5.2%から11.6ポイント増と2桁成長を遂げている。

スパム対策はエンドユーザ任せの状況ともいえる

この1年ではスパム対策アプライアンスの導入が進んでいるという

さらに、スパム対策の成果に対する満足度の調査では、「アプライアンス」に対して85%が満足と回答しており、最大となっている。このことから、スパム対策としてはアプライアンスの導入がこの1年で急速に浸透しつつあり、導入結果に対する満足度も高いということがわかる。

現在利用しているスパム対策ツールの満足度

現在のスパム対策の不満点

続いて、第三者調査機関であるESG Labがシマンテックのアンチスパムソリューションのスパム検出能力を調査し、レポートした結果も公表された。当然ながらこちらは、シマンテックのスパム検出能力は極めて優秀、という結果になっている。これに関してシマンテックは、同社が運営するProbe Netに約300万のダミーの電子メール・アカウントを確保しているという。これらはすべて実ユーザーと対応づけられてないメールアドレスであり、ここに届くメールはすべてスパムメールとみなすことができるものだ。メールの到着数はおおよそ毎日1,000万~3,000万通で、このメールを解析した結果が同社のスパム対策に反映されることで高精度なスパム検出能力が維持されているのだとの説明だった。