韓国Samsung電子は、複数のデジタル放送規格に対応したモバイルテレビ用のチップセットを発表した。本チップセットは、RFチューナとチャンネルデコーダの2チップ構成。韓国で利用されているモバイルテレビ向けのデジタル放送規格であるT-DMB、日本のISDB-T、欧州のDVB-HおよびDAB-IPに対応している。主に北米で利用されており、米QUALCOMMが中心に開発を進めているMedia-FLOについては、対応を見送った。

Samsung電子が開発したモバイルテレビ用のチップセット

デジタル放送規格については、国や地域によって採用している規格が異なる。そのためモバイルテレビを開発する際には、それぞれの地域に合わせて異なるチップ(またはチップセット)を採用しなければならないという不便さがあった。本チップセットは複数の規格に対応しているため、1つの製品でアジアと欧州という広い地域をカバーできる。

本チップセットは、モバイルテレビ端末側で放送信号を受信するRチューナと、アナログ信号をデジタル信号に変換するチャンネルデコーダで構成されている。チャンネルデコーダは、時速300Kmで移動中でも放送が途切れない性能を備えているという。

同社では、本チップセットはを本年中に出荷する予定。また、今後はRFチューナとチャンネルデコーダを1チップ化した製品も開発するという。

市場調査機関であるStrategy Analyticsによると、世界のモバイルテレビ市場は2007年は1,200万台が出荷される見込みだという。さらに2011年には1億3,000万台にまで膨らみ、年平均で約67%という大きな成長を遂げると予測している。