米Hewlett-Packard(HP)と米Microsoftは6月25日(現地時間)、HPC(High Performance Computing)分野での販売やマーケティングでの提携拡大を発表した。導入や管理が容易なソリューションを用意することで、従来までの大規模ユーザーだけでなく、より市場機会の大きい中堅規模クラスの企業ユーザーにまでHPCを提供していくのが狙い。具体的には販売提携やソリューション開発で両社が数百万ドル規模の資金を投入し、MicrosoftのWindows Compute Cluster Server(CCS) 2003を搭載したHPサーバを、HP Unified Cluster Portfolioの一環として直販ならびに同社リセラーチャネル経由での販売を行っていく。

これまでミッドレンジ以下のバックエンドシステムを主戦場としてきたMicrosoftにとって、Windows CCS 2003は大きなチャレンジとなる製品。製品版のリリースが正式に行われたのは2006年6月だが、それまで複数ユーザーとの長期間にわたるベータテストを実施することで、従来と比較して製品の完成度を高めてきた経緯がある。金融系トランザクションや科学技術計算などに限らず、多大な計算やコンピュータパワーを持つHPCを必要とする一般業務は増えてきており、各社が技術開発にしのぎを削っている。高信頼性や高速性が求められる分野に、MicrosoftがWindows Serverで培ってきた使いやすいシステムの構築ノウハウを組み合わせることで、HPC分野での他のライバルとの差別化を図ることになる。

HPはWindows CCSシステムの販売にあたり、カスタムインストール用のスクリプトとシステム展開のためのドキュメントを新たに用意している。これにより、ユーザーは64ノードのクラスタシステムをセットアップ開始から2時間で稼働させることが可能だと同社では説明する。さらにHPからは「HP Message Passing Interface」とInifiBandのオプションが提供され、より高速なノード間通信が可能なシステムを構築できる。

また今回の提携にあわせ、HPとMicrosoftの両社では米テキサス州ヒューストン、フランスのグレノーブル(Grenoble)に技術センターを設立し、顧客や独立系ソフトウェアベンダーのためのテスト環境を提供していく計画だ。