米Sun Microsystemsは6月26日(現地時間)、スーパーコンピュータ分野向けの新プラットフォーム「Sun Constellation System」を発表した。Constellationは同社のブレードサーバやクラスタリングソフトウェアなどの既存のコンポーネントを組み合わせ、科学技術計算などのスーパーコンピュータ用途にチューニングしたもの。同社によれば、世界初のペタスケール級の処理能力を持つオープンなプラットフォームになるという。現在ドイツのドレスデンで開催されているISC(International Supercomputing Conference)で同日よりデモストレーションが行われる予定で、同分野で先行するIBMらライバルを追撃していく。

Constellationでは、数千個のUltraSPARC T1またはAMD Opteron、Intel Xeonを搭載したSun Blade 6000を軸に、ストレージのSun Fire X4500などのコンポーネントをInfiniBandのスイッチで相互接続し、OSとしてSolaris 10やクラスタリングソフトウェアのSun Grid Engineを動作させる。今回の発表はSunとテキサス大学(University of Texas)のTACC(Texas Advanced Computing Center)との共同研究の成果であり、米Sun MicrosystemsのHPC&統合システム部門ディレクターのBjorn Andersson氏によれば「今日のスーパーコンピュータ市場に現存する中で、最もオープンなHPCアーキテクチャ」になるという。

ISC会場で組み立て中のSun Constellation System。期間中に会場でデモストレーションが行われる予定

また米Wall Street Journal紙に掲載された同社システム部門エグゼクティブバイスプレジデントJohn Fowler氏のコメントによれば、今年末にも稼働を開始するConstellationの実働システムの登場により、同プラットフォームが世界最速のマシンになる見込みだという。ISCでは毎年6月と11月に世界最速のコンピュータを決める「Top500」というリストを公開しており、現在は米国のローレンスリバモア研究所にあるIBMのBlueGene/Lが280.6TFLOPSのスコアで2位以下を圧倒的に引き離してトップに君臨している。もしFowler氏のコメントどおりであれば、Constellationは来年2008年夏にも更新されるTop500でBlueGene/Lを抜いてトップに躍り出ることになる。IBMのBlueGene/Lは2005年6月のTop500でNECの地球シミュレータを抜いてトップに躍り出て以来、段階的な機能強化を経てその座に君臨し続けている。最新のTop500リストは今月29日にもISCの会場で発表される予定だ。