世界最大のモバイルマルチメディアチップサプライヤーの炬力集成(Nasdaq:ACTS)はこのほど、米Sigma Tel(Nasdaq:SGTL)との特許紛争で全面和解に至ったと発表した。今回の全面和解により、過去2年半以上に及んだ両社間の特許紛争に、終止符が打たれたことになる。

炬力集成によれば、全面和解のキーポイントは下記の通り。

  1. 相手及び相手方ユーザーに対する全ての訴訟を取り消し、向こう3年間以内に第三者の特許や法的行為に関する事項で相手方を提訴しない
  2. 双方が有するすべての特許ライセンスにつき、交換協議を締結
  3. 炬力集成の製品が現時点及び将来、米国市場に進出する際、法的制限が全て撤去されること

炬力集成CEOの叶南宏氏は、「最終的にWin-Winの関係に達し得たことは、両社の長期的利益に合致している。全面和解は公平な競争と健全な発展のための基礎だ。この結果は同時に、当社による独自イノベーションの努力が認められたことを意味する。当社のモバイルマルチメディアチップ設計におけるリーディングポジションが、これでより強化されていくだろう」と、全面和解の意義を強調した。

SigmaTelの CEO であるPhil Pompa氏は、「当社にとって、Actions(炬力集成の英文名)と法廷で争うより、市場での競争のほうが重要だ。 米国国際貿易委員会(ITC)の排除命令で当初の目的は達成し、これ以上の法的費用を支払う必要性がなくなった。現在、いくつもの企業がITCの排除命令に影響されている市場でしのぎを削っている。しかも、当該市場はもはや当社のコアビジネスではない」とし、全面和解の背景について述べた。

2005年3月、SigmaTelはITCに、炬力集成がSigmaTelのもつ特許2件を侵害したとして炬力集成を提訴。2006年9月には、炬力集成が広東省深セン市中級人民法院にSigmaTelが炬力集成の特許1件を侵害したとしてSigmaTelを提訴。同9月には、ITCが炬力集成のSigmaTelに対する特許侵害の判決を下し、炬力集成製品の米国市場への輸出を禁止していた。

今年1月には、炬力集成が米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)にITCによる判決の取り消しを提訴したが、今月20日に両社は全面和解に合意した。