韓国の携帯電話事業者であるSK Telecom(SKT)は、Adchips(Adc)の新株および転換社債を引受する契約を結んだと発表した。Adcは、韓国にある非メモリ分野の半導体設計企業で、マルチメディア処理用プロセッサなどを開発している。今回の契約により、SKTはAdcの大株主となる。

Adcの新株発行数は、283万2,240株(1株当たり12,610ウォン:1円=0.1326ウォン換算で約1,670円)で、SKTの投資金額は357億1,454万6,400ウォン(約47億3,846万円)である。これにより、SKTはAdcの発行する株式の25%を保有する大株主となった。

転換社債は257億802万5,750ウォン(34億1,083万円)で、1年後に転換可能となる。この際、SKTの全体の持分は35%となる。今回の契約は、SKTの理事会の最終承認および構成取引員会の企業結合承認を得ることで、最終的に完了する予定である。

SKTは今回の契約を結んだ理由として、Adcがマルチメディア処理に適したEISC(Extendable Instruction Set Computer)アーキテクチャを開発し、保有している点を挙げている。

マイクロプロセッサのアーキテクチャは、大きく分けてCISC(Complex Instruction Set Computer)とRISC(Reduced Instruction Set Computer)の2つがある。AdcのEISCは、この両方の長所を取り入れてたアーキテクチャを取っているという。

HSDPAなどの高速無線通信を商用化し、サービスや端末の強化に取り組んでいるSKT。同社によると今回の契約により、これまで海外企業への依存度が大きかった端末部品の核心技術を国産化することが可能となるという。つまり、部品調達のうえでコスト削減などのメリットがあるようだ。

さらにAdcはマルチメディア処理用プロセッサの開発を得意としていることから、SKTによる今後のマルチメディアサービス強化においても助けとなるはずだ。Adcの技術力を背景に、SKTではHSDPAをはじめとした高速無線通信と固定回線向けコンテンツとの連動サービス、これに対応した携帯電話端末の開発などにいっそう注力していくことが見込まれる。