大友克洋氏の数少ないジュブナイル作品を充実のビジュアルで映像化した『新SOS大東京探検隊』。DVDとBlu-rayの2つのフォーマットで11月23日発売
(c)2006大友克洋・講談社/バンダイビジュアル・サンライズ

5月に公開された3Dアニメ映画『新SOS大東京探検隊』のソフトリリースが早くも決定した。11月23日にBlu-ray版とDVD版の両フォーマットでバンダイビジュアルより発売となる。価格はBlu-ray版が8,190円、DVD版が7,140円となっている。本編に加えて約20分の特典映像を収録。特典内容にはオーディオコメンタリー、スタッフインタビュー、劇場予告編などが予定されている。

『新SOS大東京探検隊』は、大友克洋氏のマンガ『SOS大東京探検隊』を原作とした中編アニメ作品。東京の地下を舞台とした少年たちの冒険譚が最新の3DCGによって描かれている。現在東京・名古屋・大阪・札幌での公開は終了しているが、6月23日からはT・ジョイ リバーウォーク北九州にて上映が開始となる。作中の舞台が夏ということもあって、九州地区の人は季節感も合わせて楽しめる上映となりそうだ。

また、先ごろ6月3日には、新宿ロフトプラスワンにおいて「『新SOS大東京探検隊』公開記念トークライブ~東京地下探検ナイト」が行われたので、今回の記事ではそちらも触れておきたい。イベントは2部構成で、第1部では『新SOS大東京探検隊』(以下『新SOS』)のメイキング、第2部では地下探検について、それぞれゲストを迎えてトークが行われた。

第1部では、高木真司監督とCGI監督の小久保将志氏を中心にトークが進行。実際に表情の付け方や、照明の当て方などが実演されながら、『新SOS』の舞台裏が紹介された。大友克洋氏のキャラクター原案を3D化するにあたっては、顔面から髪の毛やヒゲといったパーツを外し、坊主頭の骨格にしても破綻しないほどの三次元的に整合性の高いデザインがキャラクターデザインの小原秀一氏によって起こされており、モデリングに際しては大いに役立ったという。

そのほかにも「『子供の動きを見に行け』と言いたかったけどこういうご時世ではなかなかそうもいかなくて(笑)」(小久保氏)、「制服を調べるのも大変でした」(高木氏)といった意外な苦労話などが飛び出し、最後に高木監督が「大友さんみたいな厳しい方が喜んでくれるとは思わなかったので、びっくりしすぎてどうしようかと思いましたけど、そのおかげで劇場公開というところまでいけました。ひとつの成果としてみなさんに感謝したいと思います」と述べて、第1部を締めくくった。

左より宣伝プロデューサーの桑島龍一氏、監督の高木真司氏、CGI監督の小久保将志氏、制作担当の高山清彦氏、企画担当の松下日出男氏

続く第2部では、WEBサイト「社会科見学に行こう!」を運営する小島健一氏が登場。エモーションの宣伝プロデューサー・桑島氏によれば、小島氏をはじめとする社会科見学ファンを試写会に招待したことが、今回のイベントのきっかけになっているのだとか。自分自身も大の社会科見学ファンという高木監督は、『新SOS』の企画段階から同サイトをかなり参考にしていたということで、この日も壇上では小島氏と意気投合。現在も工事が進む首都高中央環状線から幻の地下鉄新橋駅、果てはレンガの積み方に至るまで、濃いトークが和やかな雰囲気とともに進められた。

「社会科見学に行こう!」の小島健一氏(中央)と高木監督(右)。『新SOS』にも登場する銀座の路地裏を熱く語ってます

『新SOS』に関連した話題としては、高木監督が東京ジオサイトを見学した際に体験した「地下深くでも空が見えれば携帯電話がつながる」というエピソードが作中でも使われていたり、あるいは戦時中に掘られた地下壕を利用したキノコ栽培が設定にも活かされていることなどが披露された。今回のイベントを見る限りでは、アニメも社会科見学も、大人の知的好奇心を刺激するものということで、両者の間に垣根はなさそう。「地下」をキーワードに、アニメと社会科見学がつながるという、ありそうでなかったタイプのコラボレーションが今後も様々な形で行われることを期待したい。