米Microsoftは6月13日(現地時間)、Linuxディストリビュータの「Linspire」と知的財産の共有ならびに両プラットフォーム間の相互運用性に関する提携を結んだと発表した。MicrosoftはこれまでにもNovellやXandrosと同様の提携を行っており、今回のLinspireが同社と提携を結んだLinuxディストリビュータの3番手となる。

Linspireは2001年設立の企業。当初は自社のLinuxディストリビューションを「Lindows」の名称でリリースし、Microsoftに提訴されたことがある。今回発表されたMicrosoftとの提携は、これまでMicrosoftが同業他社と結んできた相互運用性や知的財産保護に関する契約を踏襲するものとなる。具体的には、下記のような形で相互運用性に向けた取り組みを進めていく。

  • 文書ファイルの互換性の強化

    オープンソースの変換ソフト開発によるOpenOfficeとMicrosoft Officeの文書ファイル共有の促進のほか、Ecma Open XMLとOpenDocument Format間での効率的な変換実現によるユーザーの選択肢の拡大。

  • インスタントメッセージング(IM)

    LinspireがMicrosoftのReal-Time Audio Codecのライセンス供与を受けることで、Linspireが搭載するPidginクライアントとMicrosoftのIMクライアント(Office Communicatorを含む)間で音声ベースでのIM通信の互換性を高める。

  • デジタルメディア

    Linspireの将来バージョンで最新のWindows Media 10 AudioならびにVideo Codecをサポートし、LinspireならびにWindowsユーザー間で音声/動画ファイルの共有を促進。

  • TrueTypeフォント

    LinspireがMicrosoftのTrueTypeフォント(Arial、Georgia、Times New Roman、Verdanaなど)のライセンス供与を受け、これをLinspireユーザーがアプリケーション群の中で利用できる。

上記のIM、デジタルメディア技術、TrueTypeフォントの3つに関しては、ユーザーが当該ライセンスを購入したときのみ利用可能となり、Linspire 5.0のディストリビューション自体には付属しない。またLinspireでは、Web検索システムとしてWindows LiveのLive Searchを組み込む。

両社は互換性強化や技術ライセンスだけでなく、知的所有権に関する保証も行う予定だ。Linspireユーザーは、Microsoftの持つ技術を使用するためのライセンスを利用することが可能になり、知的財産的に保護されることになる。これはオープンソースソフトウェアが潜在的に抱える訴訟リスクを回避するための予防線となる。