シマンテックは13日、「パソコン利用時のストレス」に関するアンケート調査の結果を発表した。2,000人のPCユーザを対象とし、PC利用にあたってストレスを感じることや、それについてどのような対処を行っているかを調べたものだ。シマンテックによる同様の調査は今回で二度目(一度目の記事「PCにトラブル発生、30.1%の人は「独り言がふえる」 - シマンテック調査」)。

調査を担当したインフォプラントの松澤治光氏

今回はアンケート対象となったPCユーザに対し、「インターネットとメールをふつうに使える」「Visual Basicなどのプログラミング言語を使っている」などの項目からなる、PCスキルの習熟度を問う質問に答えてもらうことで、「初級」「標準」「上級」の三段階に対象を分類したのが特徴的。これにより、同じ質問に対しても、習熟度の差により異なった回答が得られているのが興味深い。

例えば、「パソコンの一般的なパフォーマンス(性能)でストレスを感じることはどんなことですか」という質問に対しては、習熟度にかかわらず「動作が遅い」を一位(66%)に挙げている。しかし、「動作が遅い」とは具体的にどのような状態を指すものかという質問に対しては、習熟度が低いユーザは「パソコンの起動速度が遅い」ことを、習熟度が高いユーザは「負荷が高い時の処理速度」を指摘することが多いという。

これは、パソコンに習熟すると「OSの仕事量を考えると起動速度の遅さは我慢できる」ということか、それとも休止状態やスタンバイなどを駆使して起動・終了にかかる時間を軽減しているのか、それとも他の理由か、気になるところではある。

しかし、そうしたパフォーマンス上の不満に対して、実際に対策を取っているユーザの数は限られているようで、何の対策も取っていないユーザは4割に及ぶ。何もしない理由は「やり方がわからない」「手間がかかって面倒」という理由の割合が高い。筆者に身近な、初級スキルの人間を思い出してもこれは合点がいくところだ。恐らく、ここ数年内に買ったPCであれば、多少ストレスを感じつつも「新しく何かを学んで、一手間かけて対処しよう」というほどの遅さではない、というところではないだろうか。

PC性能に関するストレス要因は「遅い」が多数

PCへのデータ保管に関する質問では、「なくしたら困る」と考えるファイルが前回調査に比べて9%も増加している(79.4%)。保存しているデータの容量自体は平均26.1GBで、前回比34%の増加だ。一方、重要なファイルをバックアップしているユーザや、バックアップの頻度も前回とほとんど変化なし。年々PCに重要なデータを保管する傾向が強まる中、バックアップについての認識や知識があまり増えていないことがうかがえる。

なお、データの損失原因として推定されるのは、「ハードディスクの不具合」がトップ(42.9%)。前回調査よりも「アプリケーションやOSがクラッシュした」「操作を誤った」などの理由は減少しており、これは「アプリ/OSの信頼性が高まっている」、「PCの操作についての習熟度が、国民全体で向上している」ということを表すのだろうか。

データ損失もPC利用において相当なストレス

セキュリティに関する不安も、PC利用におけるストレス要因の一つだ。ストレス要因のうち割合が高いのは「ウィルス・スパイウェア」に関するものと、「個人情報漏洩によるものや、フィッシング・不当請求などによる詐欺行為」の二つ。面白いことに、前者(「ウィルス・スパイウェア」)は上級スキル層でストレス要因として高く扱われがちなのに対し、後者は初級スキル層でやや高くなる。上級スキルのユーザは、フィッシングなどの詐欺行為に引っ掛からない自信があり、初級スキルのユーザは、対策ソフトの導入によりウィルス・スパイウェアに対してかなりの安心感を得ている、ということだろうか。

セキュリティに関しては、「ウイルス・スパイウェア」と「個人情報漏洩」がストレス原因

そしてPCに対する総合的なストレスを問う質問で、「全ストレスのうち、PCのトラブルに起因するストレスの割合」を聞くと平均20%とのことである。

こうした様々なストレス要因を持つPCだが、その利便性は多くの人が感じているようだ。「インターネットが使えなくなったらどうか」という質問に対して、7割が「生活に支障を来たす」と答えている。これは、もはやPCが生活必需品になりつつあると考えてもよいだろう。そんなPCをストレスなく使用し、日常生活のストレスを軽減するためとして、セキュリティやバックアップの機能を包括したシマンテックの製品「ノートン 360」についての簡単な紹介を受け、今回の発表は終わりとなった。

PCストレスの割合