フィンランドのNokiaは6月12日(現地時間)、同社の開発した短距離無線通信技術「Wibree」がBluetooth仕様の一部として統合されたと発表した。今後、規格推進団体のWibree ForumはBlutooth SIGへと統合されることになる。Wibreeは半径10メートル未満で1Mbpsでの無線通信を実現する技術で、Bluetoothの基本仕様に非常に酷似している。その最大の特徴は省電力機能で、Bluetoothと比較して数分の1以下の電力で動作が可能。WibreeのBluetoothへの統合により、今後Bluetooth対応機器のさらなる応用範囲の広がりが期待できる。

Wibreeは2001年にNokiaのラボで開発がスタートし、2006年10月に正式発表が行われた技術。PAN(Personal Area Network)と呼ばれる短距離無線通信の分野では、すでにPCや携帯電話への搭載が進んでいるBluetoothが市民権を得ており、次世代規格としては100Mbps超の通信速度を実現するUWB(Ultra Wide Band)技術を搭載した製品の出荷がスタートしている。こうしたなか最後発組として登場したWibreeは基本スペックだけを見ればBluetoothより劣るものの、省電力の面で大きなメリットを持っている。もともと低消費電力と低コストを売り物に登場したBluetoothだが、大容量バッテリが搭載できない腕時計や各種センサー、ヘッドセットなどの小型機器で長時間の利用は難しかった。Wibreeはこうした新市場を開拓し、Bluetooth搭載が進んでいる既存の携帯電話やPCなどの機器にはバッテリ寿命の延長というメリットをもたらす。

今回NokiaがWibree技術をBluetooth SIGへと移譲したことにより、超低消費電力版Bluetoothが登場する道が開けた。Bluetooth SIGのエグゼクティブディレクターMichael Foley氏は「Bluetooth SIGのメンバーらが超低消費電力のBluetoothソリューションを模索しており、Nokiaの今回の貢献により、およそ1年以内にこうしたソリューションの提供を可能にするだろう」と述べ、近い将来にも関連製品が登場する可能性を示唆している。