マイクロソフトは6日、携帯端末向けOS「Windows Mobile 6日本語版」を正式に発表し、端末メーカー向けに提供を開始した。同社のWebサービス「Windows Live」との統合をより進めたほか、Exchange Server 2007と連携して高度なメッセージング機能を利用することができる。搭載端末としては、ソフトバンクモバイルより「X02HT」(HTC製)・「X01T」(東芝製)、ウィルコムよりW-ZERO3次世代機(シャープ製)が夏以降発売される予定。

国内外で多数のWindows Mobile 6搭載機が登場する

従来バージョンからの主な機能向上ポイントは、モバイルメッセージング機能、Webサービス利用、セキュリティの3点。モバイルメッセージング機能では、搭載メーラーが標準でHTMLメールをサポートしたほか、モバイル版のWord / Excel / PowerPointがそれぞれバージョン2007のファイル形式に対応した。サーバーとの連携機能としては、Exchange Server 2007上にあるメールの検索や保護メール(転送不可など権限管理されたメール)への対応などが可能となったほか、社内のSharePoint Server上にあるファイルへのリンクを直接開くこともできるようになった。

特にExchange Server 2007との連携でサーバー上のメールに対し強力な管理機能を活用できる。右は社内のSharePoint Serverへのリンク

「Windows Live Messenger」「Windows Live Hotmail」「Live Search」などマイクロソフトが提供するWebサービスシリーズ「Windows Live」の統合を強化。標準で各サービスのクライアントソフトを搭載し、待ち受け画面にオンラインメンバーの人数を表示したり、同画面から直接Live Searchによる検索などを利用できる。また、WebブラウザのInternet Explorer Mobileにも改善が加えられ、各種Web標準への対応をより高度にしたことでAjaxなどのサポートが拡大、加えてレンダリングの仕組みを改善したことでWebページの体感表示速度が向上した。

Windows Liveのクライアントソフトを標準搭載。PCでもモバイルでも同じサービスを利用できる

セキュリティ機能としては、外部メモリーカードの暗号化機能を搭載し、特定のデバイスでしか読み書きできないメモリーカードを作れるほか、企業内の業務用端末として利用する場合にパスワードに有効期限を設定可能、遠隔で端末内のデータを消去する「リモートワイプ」の搭載など、管理機能を強化した。PCやサーバーに接続してデスクトップのソフトを操作できる「リモート デスクトップ モバイル」も新たに搭載され、Windows Mobile端末をシンクライアントとして利用することも可能になった。

セキュリティ・管理機能の強化も今回の新バージョンで重要な位置を占める

製品ラインナップはタッチスクリーンを必要としない端末向けの「Windows Mobile 6 Standard Edition」、タッチスクリーンをサポートする同「Professional Edition」、PDAなど非接続型タッチスクリーン端末向けの同「Classic Edition」が用意される。パフォーマンス面では、Windows MobileはPC向けのOSと異なり、端末ごとに新機能の追加やチューニングが行われているので一概には言えないが、特に初期のWindows Mobile 5シリーズと比較した場合、改善の見られる部分もあるという。

同社執行役常務の佐分利ユージン氏によれば、同社では今年末までに搭載端末100万台の出荷を見込んでおり、およそ1億件の加入者があると言われる国内の携帯電話市場において、将来的には10~15%のシェアを獲得したいとしている。