米Googleは30日(現地時間)、Webアプリケーションをオンライン依存から解き放つ、Webブラウザ向けの拡張技術「Google Gears」を発表した。Googleをはじめ、従来型のSaaSアプリケーションでは、クライアントPCがWebに接続されている状態、いわゆる"オンライン"での利用が前提という制限がある。Google GearsはWebアプリケーションのオフライン状態での動作もサポートすることで、その利用範囲を大幅に拡張することが可能となる。Google Gears対応アプリケーション第1弾として「Google Reader」が公開されているほか、Gearsの技術自体はオープンソースとして公開されており、Google以外のベンダーでもアプリケーション開発が可能なように広く門戸が開かれている。

Webアプリケーションをオフライン動作させる試みは、SaaS提供ベンダーにとって長年の大きな課題の1つでもある。例えばSaaS分野における成功企業の1つである米Salesforce.comでは、Adobeの持つ「Flash/Flex」技術や、最新技術にあたる「Apollo」を用い、同社のビジネスアプリケーションをオフライン動作させる仕組みを模索している。Googleも同様で、主要アプリケーションをWeb上での動作に依存するベンダーにとって、オフライン動作はプラットフォームの利用を広げる1つの鍵となる。将来的にはWindows OSなど、既存OS向けのネイティブアプリケーションと競ううえで必要な技術となるからだ。

Google Gearsは、Webブラウザ向けのエクステンションとして提供される。対応OSは、Windows XP/Vista、Mac OS X、Linuxで、Firefox 1.5またはInternet Explorer 6.0以上のブラウザが必要となる。Google Gearsをマシンにインストールすると、以後はGears自体がWebサーバやデータベースの機能を兼ねるようになり、本来はサーバに対して発生するはずのWebアプリケーションからのアクセスをブラウザ内で完結されることが可能になる。事実上のオフライン動作が実現されるわけだ。Webアプリケーションは、Gearsの動作をサポートするためのJavaScript APIを組み込むだけで、オフライン対応が可能となる。機能の詳細やエクステンションのダウンロードについては、Google Gearsのサイトを参照のこと。

今回の発表は、現在世界規模で開催されている同社の技術カンファレンス「Google Developer Day 2007」の最初の開催地であるオーストラリアのシドニーで発表されたもの。全10都市で開催されるイベントのうち、ロンドン会場と最終開催地であるマウンテンビュー会場(実際の開催地は米カリフォルニア州サンノゼ)の模様は、カンファレンスのサイトからアクセスできるWebキャスト経由で中継される予定だ。